フリーランス編集記者


「リア充爆発しろ」の空気に真っ向勝負を挑んだ

月間依頼数や売上高は公開していないが、「事業は右肩上がりで成長している。今期中には単月黒字化も目指せる。今までは新規ユーザーを獲得する施策を進めてきたが、最近ではリピーターを増やす施策に力を入れている」(駒下氏)。サービス開始から約3年での撮影件数は累計1万3000組を超えた。ファミリー層を取り込むのにあわせて、客単価も上がっているという。

じわじわとサービスを拡大するLovegraph。駒下氏はサービスがユーザーに受け入れられた理由について、“摩擦”という言葉で分析する。

「世の中にインパクトを与えるには『摩擦』が大事だと考えています。僕らがサービスを立ち上げた頃は、ネット上で(カップルが仲良くする写真などをアップするような)『リア充』の行動に対して否定的な空気が漂っていました。そこに真っ向勝負を挑んで、摩擦を起こそうとしました。それがユーザーに受け入れられたんだと思っています。ふだん『リア充爆発しろ』なんてネットに書き込んでいる人も、好きな人ができれば一緒にいて、記録を残しますよね。そして、スマートフォンで簡単に写真が撮れるようになったからこそ、『プロが一眼レフカメラで丁寧に写真を撮る』ということが受けたと思います」(駒下氏)

数値化できない価値を持つ、オンリーワンのサービスに

競合サービスもいくつか登場しているが、「競争は性格的に苦手なので、ナンバーワンよりオンリーワンのサービスになりたい」と語る駒下氏。「もちろん経営において数字を作ることは大事です。ですが数字だけで見える答えはどこも同じになってしまう。例えば写真のレベル、クオリティが上がるというのは数値化しづらく、ビジネスのどこにインパクトが起こるのかは数字では見えづらいですが、そういうものが最終的に大事になって行くと思います」(駒下氏)。登録カメラマンの採用基準として「幸せの感度が高い人」という指標を設けているのも、このような考えからだ。


同社CCO村田あつみ氏

数値化できない品質を担保するため、2018年には数値目標を持たない、ブランド構築のための部署「CCO(Chief Creative Officer)室」も立ち上げた。同部署ではLovegraph流の写真撮影術に関する書籍の出版を予定している。

調達した資金でレタッチ効率化ツールの開発も

ラブグラフでは今回調達した資金で、前述のブランド構築に加えて、既存事業の強化と、技術開発を進める。

既存事業については、カップル、ファミリーといった定番の撮影に加えて、2018年10月に発表した企業向け(創業期からステージに合わせて会社や社員の写真を撮影する)の「ヒストリ」、12月に発表したマタニティフォト撮影の「maternia(マタニア)」などのブランドを打ち出し、ユーザーに新たな撮影のシーンを提案していく。「結婚式の件数も年々減っているが、写真で記録を残す『フォトウェディング』のニーズは高い。今後はウェディング向けのブランドも立ち上げたい」(駒下氏)

登録カメラマン向けの施策も強化する。現在無料で開催しているカメラマン向けオンラインスクールを有償化。同時にコンテンツを強化する。「2カ月程度で品質の高い写真を撮影できるよう、ノウハウを伝えていく」(駒下氏)。カメラマンにも愛用者の多い現像ソフト「Adobe Photoshop Lightroom」向けのプリセットも提供を開始した。

エンジニアの採用も進め、技術開発も進める。カメラマンがサイト上で掲載する写真の解析を進め、カップルフォトやファミリーフォトをより効率化するようなレタッチツールの開発計画もある。

「テクノロジーでもカメラマンの支援をすすめます。Lovegraphのコンセプトは『世界中の愛を、カタチに。』です。これを実現していく。中長期的にはインバウンド需要やシニア層の取り込んでいきたい」(駒下氏)

文=岩本有平

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