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幹部が評価する「彼女の魅力」

プリンスはかねてカルニオル=タンバーに、いずれ自分の後任となることを期待していると告げてきた。「彼女は非常に頭が良く、立派な価値観と魅力的な人柄を備えている。この3つを併せ持つ人間はめったにいない」

一方、ダリオは彼女の「他者とうまくやる能力」を高く買う。ブリッジウォーターの攻撃的な企業文化を考えれば、これは少々驚きだ。ダリオは自らの信条に基づき、この会社をつくった。そこでは徹底的な透明性と、意見の不一致を隠さず表明することが、意思決定を誤らないための最良の方法として奨励されている。飛び抜けた知性と野心を持った高給取りの一団がこのようなアプローチを取れば、どうしてもギスギスした職場環境になりがちだ。

「残忍なまでに率直な文化の中にあっても、カレンの行動には優しさが伴っています」と、ブリッジウォーターの元同僚は話す。「カレンが率直でないとは言いません。でも彼女は他の人たちと違って、動機は純粋だし、他者や会社のことを気にかけています」

カルニオル=タンバー自身はと言えば、ブリッジウォーターのやり方を、エゴではなく、意見の衝突だととらえている。「夜の10時にレイに電話し、あなたの考えは理解できないと伝えなければならなかったこともありました」と、彼女は言う。「意見の多様性を重んじる必要があるのです」

カルニオル=タンバーは三次元的に物を考え、言葉にする傾向がある。彼女はオフィスの壁に掛かったホワイトボードに1つのキューブ(立方体)を描いた。キューブはブリッジウォーターが43年の歴史を通じて蓄積してきたすべての知識を表していると彼女は語る。あらゆる投資のアイデアはそのキューブ内のどこかの座標に収まるのである。彼女の仕事はより多くのデータや知識でそのキューブを満たすことだ。

目下、調査部門の焦点は中国だ。彼女は、将来的にはアジア全般、特に中国が投資ポートフォリオの中でより顕著な役割を果たすことになると見る。18年に中国の株式市場は大打撃を被った。経済成長の減速と国営企業の存在が投資を難しくしてもいる。そのため短期的には中国株を強気には見ていないが、中国は自国の株式や債券を外国人投資家に開放しつつあるし、その経済の規模と重要性に鑑みれば、グローバルな投資家の大半はいまだに中国を過小評価している、と彼女は言う。

「米国株は今後10〜15年間、比較的高い利益を上げ続けると想定されています。そうした材料で買われているのを見て、私は脆弱さを感じるのです」

文=ネーサン・ヴァルディ 翻訳=町田敦夫 写真=フランコ・ヴォグト

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