ガートナー台北支社のTracy Tsaiは、インドでiPhone組み立て工場を拡張するには政府の支援が必要であり、フォックスコンは工場用地の値引きや減税措置を提示された可能性が高いと指摘する。
台北に本拠を置くMarket Intelligence & Consulting Instituteでシニア・インダストリー・アナリストを務めるEddie Hanによると、アップルも「顧客からの要請」に基づいて生産拠点の移転を図っており、iPhoneの原材料や部品などの免税措置についてインド当局と協議しているという。
フォックスコンによるインドでの製造強化の動きは、過去10年間にわたる同社の地理的な多角化戦略と一致する。
フォックスコンの2017年の連結売上高は、1520億ドル(約16.6兆円)だった。現在、同社はアップル製品の大半を中国で製造している。Tsaiは、同社が生産ネットワークを中国から他国へ移転することは容易ではなく、短期的には実現しない可能性が高いと指摘する。
しかし、米中貿易戦争によって中国製品に対して追加関税が発動され、中国から出荷されるアップル製品の利益は低下している。また、中国では労働コストが値上がりしており、フォックスコンは同国での生産設備への追加投資には消極的だ。
中国での騒動の後、フォックスコンを率いるテリー・ゴウは、インドネシアでのR&D設備強化や、米国でのロボット開発、ベトナムのハノイでのiPhone工場の建設など、中国以外の国への投資計画を相次いで発表した。
「インドへの投資は、他国の生産体制を完全に移転するものではないが、中国からのシフトの一環であることは確かだ」とHanは話した。