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2019.02.05

スペースXが「月旅行」を担う新エンジンの燃焼実験に成功

courtesy of SPACE X

スペースXがロケットエンジン「ラプター(Raptor)」の燃焼実験を成功させた。ラプターは巨大宇宙船「スターシップ(Starship)」で使用するエンジンであり、人類を今からそう遠くない未来に、火星へ送り込むミッションを担っている

スペースXのCEOのイーロン・マスクは2月3日、テキサス州マクレガーで行われた燃焼実験の模様を、動画を添えてツイートした。「スペースシップのラプターエンジンの初点火だ! 我が社のチームの素晴らしい仕事を誇りに思う」

動画ではラプターが炎を噴射する場面が映された。ラプターは燃料に液化メタンを用いている。液化メタンは従来の燃料であるケロシンよりも、クリーンなエネルギーとして知られている。ジェフ・ベゾスのブルー・オリジン(Blue Origin)のBE-4エンジンも、液化メタン燃料を用いている。

現在開発中の宇宙船「スターシップ(Starship)」は最大100名を月に送り込むことになるが、そのスターシップには7つのラプターエンジンが使用される。スターシップは再利用可能ロケットのスーパーヘビー(Super Heavy)によって打ち上げられるが、スーパーヘビーにも31個のラプターエンジンが搭載され、2020年代の初頭に初の打ち上げを予定している。

スペースXは、このスターシップのプロトタイプ版のテスト飛行を間もなく実施する予定だったが、強風により機体がダメージを受けたため、延期になっていた。宇宙分野のアナリストのJonathan McDowellは「次の重要なステップは、ラプターエンジンを用いたテスト飛行を成功させることだ。地上での燃焼実験と、テスト飛行の間には大きな違いがある」と述べた。

スペースXは昨年、同社が2023年に実施する月旅行プログラムの最初の顧客が、日本のビリオネアの前澤友作たちであることをアナウンスした。月旅行を成功させた後は、火星への有人飛行を目指す同社の最重要課題が、今回のラプターエンジンの開発を成功させることだ。

宇宙関連のリサーチ企業SpaceWorksのCaleb Williamsは「今回のテストが成功に終わったことで、スターシップ計画全体についての信頼度が高まった。投資家としても、開発が順調に進んでいるのは嬉しいニュースに違いない」と述べた。

スペースXは宇宙船のスターシップや、それを運ぶスーパーヘビーロケットとは別に、ファルコン9ロケットやファルコンヘビーロケット、国際宇宙ステーション(ISS)への輸送を担うドラゴン宇宙船シリーズを開発中だ。

ファルコンヘビーロケットは、ファルコン9の1段目を3本束ねた超大型ロケットで、昨年2月に1回目の打ち上げに成功。今年3月には2回目の打ち上げを控えている。

編集=上田裕資

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