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「21世紀サステナビリティ経営の極意」


それでは日本はどう対応してきたのか。日本人は、環境に優しいイメージがあるので、しっかり資源量管理をしてきたのかと思ったら大間違いで、事態は深刻だ。まず、政府が、資源量測定の対象となっている魚種は、米国の473系群、EUの186系群に比べ、日本は79系群と大幅に少ない。そもそも測定していなければ、減っていることすら認識できない。

さらに、測定対象79系群の状況は、2018年の時点で、資源水準が高位にあるものが16%、中位にあるものが33%、低位にあるものが51%。すなわち、懸念状態がすでに半数、懸念の恐れがあるものまで入れると84%が要注意状況となっている。かなり危機的な状況だ。

それなのに、日本政府は、漁師の短期的な生活を守るためか、マアジ、マサバ及びゴマサバ、マイワシ、サンマ、スケトウダラ、ズワイガニ、スルメイカの7種しか、漁獲量制限を適用してこなかった。

そして昨年末、ようやく「改正漁業法」を成立させた。柱の一つは、漁獲量制限を適用する魚種の拡大で、現在の7魚種から大幅に増える見込みだ。政府発表によると、漁獲量全体の8割を対象とする予定で、これによりどこまで資源量を回復できるか、本気度が問われている。

日中関係という大きなリスク

国内の漁獲量が減少しているのであれば、輸入すればよいという意見もあるだろう。だが、輸入の将来性もかなり危なっかしい。

日本の魚介類輸入元は、中国がダントツ首位。2017年の輸入額は3170億円で、2位米国の1660億円と比べると約2倍の開きがある。そのあとにチリ、ロシア、ベトナム、タイ、ノルウェーと続くが、日本の台所や外食が、日中関係という大きな政治的リスクにさらされていることは、日本人にはあまり認知されていない。

一体、日本は何を中国から輸入しているのだろう。輸入額で大きいのは、いか、うなぎ、かにで、どれも日本人にとって人気の食材だ。他にも、中国は世界の養殖大国のため、幅広い魚介類が日本に入ってきている。

魚種別の輸入額で見ると、最も輸入額が大きいのは「さけ・ます」で、チリ産(57%)とノルウェー産(22%)で約8割を占める。2番目に大きいのは、えびで、ベトナム21%、インド17%、インドネシア14%、アルゼンチン9%、タイ6%で、この5カ国で70%となる。ちなみに日本のえびは、最近はほぼ全て輸入モノだ。

日本料理を代表する魚種の「まぐろ・かつお」も、今や輸入額第3位で、輸入に頼ってきている。輸入元は、台湾24%、中国15%、韓国10%で、この3ヶ国で約半分を占める。

文=夫馬賢治

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