起業家たちの「頭の中」




一瞬で投資を決めてもらえるプレゼンのポイント

下平:創業1年足らずで5億円以上の資金調達に成功されています。シード・アーリー期の資金調達におけるポイントもぜひお聞かせください。

後藤起業家の素養でもお話ししましたが、まずは「結果」を示すことが最も信頼を獲得する近道だと考えています。

例えば「Payme」はシードラウンドにおいても、イメージだけでなく実際のプロトタイプを作って資金調達を行いました。少しでもいいから形になっていることで、相手の関心度は全く異なってきます。

それに加え、「自分にしか無いインサイト」を言語化し、ちょっとの瞬間でもアピールできる、いわゆる「エレベーターピッチ」を徹底的に練習しました。例えば、弊社の創業時の投資家の方には、イベントで私がスタッフをやっていた際にたまたま通りがかった瞬間を狙ってピッチし、その場で投資を決めてもらいました。

下平:「自分にしか無いインサイト」とは、例えばどのようなことなのでしょうか?

後藤:「Payme」の場合、先ほどお話しした徹底的なリサーチをもとに、「海外でこのビジネスが上手くいっている理由/日本でもマーケットがある理由/ただしそのモデルをそのまま日本でやっても上手くいかない理由」をロジカルに説明しました。その上で、自社サービスの優位性や、自分自身のモチベーションの源泉を熱くアピールしました。

下平:最初、後藤さんのピッチを聞いた時、さすが元投資家だけあって、投資家が欲しい情報を端的にまとめられているという印象を持ちました。

後藤:相手が何に興味を持っているか考えることは重要ですね。シリーズAの資金調達では、リサーチの情報よりも「KPIの成長度合い」や「ユーザーの声」、「チームメンバー」など、サービスがスケールするために重要な内容をアピールしました。

このように、フェーズごとで投資家が欲する情報を端的に伝える努力をしたことが、資金調達につながったのだと思います。



株主との関係構築でも鍵となるのは「事前準備」

下平:次に、資金調達後に株主から力を引き出すコツをお聞かせください。

後藤:これも「事前準備がすべて」で、投資していただく前に協力してほしい内容を握っておくことに尽きます。

例えば弊社はシードラウンドの際に、出資していただいたある投資家の方が立ち上げるファンドの1号案件を意図的に狙っていました。その方が人として信頼できるのに加えて、ファンドの立ち上がり直後であれば次ラウンドでの出資も事前に交渉しやすいからです。実際、その方はシリーズAの際にも追加出資してくださいました。

下平:ファンドの谷間といった特性を理解した上で交渉したのですね。

後藤:こういった特性は普通の若手起業家だと知らない内容なのかもしれませんが、早めに信頼できるエンジェル投資家を仲間にしていれば、事前に入手できる情報です。ですので、株主の力の引き出し方は「事前に決めておくこと」。

定期的なホウレンソウによって情報をインプットしながら、起きる課題を常に先読みし、事前交渉することが重要だと思います。

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文=下平将人 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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