「生産背景を整えずに始める怖さはすごくあって。企画だけ立てても1枚も売れなかったり、注文が入っても生産が間に合わなかったり……。そういうことを考え始めたら、すごく怖くなって、なかなか次の一歩が踏み出せずにいました。
ただMakuakeを使えば、集まった資金で生産背景を整えることができるし、どんな人が欲しいと思っているのかお客さんの顔も見える。Makuakeを使えば、“必要な分だけ生産する”というサスティナブルな生産の仕組みを構築できると思ったんです」(マリエ)
記事を執筆している2019年1月29日時点で、目標金額の50万円を大きく超え、85万3,020円が集まっている。
いまは消費者が賢い時代
マリエがクラウドファンディングを活用することにした理由は、他にもある。
消費者の「購買」に対する価値観が変化している昨今、消費者とダイレクトでつながれる仕組みを活用するのは自然な流れだったという。価値観の変化について、マリエのプロジェクトをサポートした、マクアケ取締役の坊垣佳奈はこう語る。
「インターネットの普及によって、消費者は情報を得られるようになった。その結果“誰が、どんな思いでつくっているのか”を購買時の意思決定で重視する人が増えてきている。同じ値段の同じモノだったら、誰がつくったか、どういう思いでつくられたかを知った上で、それに共感できるものを買う時代になりつつあります」(坊垣)
実際、Makuakeでは大企業と中小企業のプロジェクトを比較した際、中小企業のプロジェクトの方が支援を集めているケースも多くあるという。
これはネームバリューではなく、生産の背景にあるストーリーを重視する消費者の変化の表れでもあるだろう。
生産のあり方は20世紀のまま何も変わっていない
そんな消費者の変化にいち早く気づき、生産する側も進化していかなければいけない。その思いから、マリエは自身のブランド、ひいてはこのプロジェクトをスタートさせている。
「洋服の生産方法は大量生産が可能になったことで効率化されていきましたが、基本的な流れは変わっていない。21世紀に生きているのに20世紀のまま。
21世紀の方法にアップデートするには一度、いまを見直して、今後の未来がどうなっていくかを考えていかなければいけない。私はサスティナブルかつ廃棄を出さない社会貢献性の高いブランドが21世紀には必要だと思っています」(マリエ)