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I’m a LA-based senior editor for Forbes, covering streaming video.

FOOTAGE VECTOR PHOTO / Shutterstock.com

米国のメディア業界ではこのところリストラが相次いでいる。そんな中、音楽から社会派ドキュメンタリーまで幅広い題材を扱う、新興メディア企業「Vice」もその流れに加わることが明らかになった。

Vice MediaでCEOを務めるナンシー・デュビュックNancy Dubucは2月1日、全体の10%に相当する250名の人員削減を行うとアナウンスした。テレビ業界のベテラン幹部であるDubucは、Viceの映画やテレビ製作部門、広告コンテンツ部門への再注力を進めていく。

「2019年の予算策定にあたり、Viceのブランドを長期的に維持するための方向性を決定した」とDubucは社内向けメモで述べた。

メディア業界では1月23日、米バズフィード(BuzzFeed)が全体の15%に相当する200名を削減すると報じられ、ハフィントンポストを傘下に持つベライゾンメディアも800名を削減すると述べていた。リストラの波はデジタルメディアだけでなく、USAトゥデイなどを発行する新聞業界大手のガネット(Gannett)にも押し寄せ、同社も400名を削減すると発表した。

メディア業界に詳しいアナリストのKen Doctorは、この背景にはグーグルやフェイスブック等のテック企業らによる、メディア分野の寡占があげられると述べた。この2社とアマゾンを合わせた3社が、2017年の米国のデジタル広告売上の62%を占めたことが、eMarketerの調査でも判明していた。

「メディア企業のビジネスの多くは広告依存型だ。広告モデルは成長の壁に直面している」とDoctorは述べた。

Viceの人員削減は以前から予測されていた。昨年秋に同社は、新規の採用を中止しており、徐々にスタッフ数を減らしていく方針を打ち出していた。それを一歩進めたのが、今回の人員削減といえる。

Viceは社内の組織再編を進め、地域ごとに統合されたグローバル企業から、コアビジネスを中心に据えた単一の企業体として、リソースの集中を行っていく。同社の主要事業には、映画やテレビ番組の製作、国際的ニュース部門、デジタル事業、広告エージェンシー事業などがあげられる。同社は今後、人事や法務部門をニューヨークのブルックリンのオフィスに統合するという。

今後はコンテンツ製作に注力か

「統合化により、重複した分野の雇用を削減する」とデュビュックは述べた。「ファイナンスからテレビ製作、IT部門まで、VICEの運営に関わる全ての人員が影響を受けることになる」

1994年にフリーペーパーとしてスタートしたViceは、創業者のシェーン・スミスの手腕により、雑誌、ウェブメディア、テレビ番組などを抱えるマルチメディア企業に成長した。しかし、2017年12月に社内のセクハラ問題が浮上し、昨年3月にスミスはエグゼクティブ・チェアマンに退いていた。

その後、5月にCEOに就任したデュバックは、元A+Eネットワークスの社長兼CEOを務めた人物で、企業統治の刷新を進めてきた。

新CEOのデュバックの指揮下でViceは、一定の成果を上げつつある。Vice Studioが製作した、CIAによる拷問を描いたドキュメンタリー映画「The Report」は今年のサンダンス映画祭で注目を集め、その放映権をアマゾンに1400万ドルで売却した。

また、現在ネットフリックスで配信中の、大失敗に終わったロックフェスを描いたドキュメンタリー作品「FYRE 夢に終わった史上最高のパーティー」の製作元もViceだ。

さらに、2月にはViceが保有しA+E Networksがオペレーションを行うケーブルチャンネルのVicelandで、新番組のVice Liveを始動させようとしている。

編集=上田裕資

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