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0歳からの「お金の話」

imagenavi / gettyimages

日本でも金融教育の重要性が認知されてきた。昨年から金融教育に関する書籍がいくつか発売され、それに伴い金融教育関連のイベントも数多くみられるようになっている。その流れは私自身も実感している。

先月、親子同席でお金を学ぶセミナーで講演をさせていただく機会を得たが、非常にアットホームな雰囲気であり、積極的な質疑応答も展開されたのだが、その際にいくつかの気づきを得ることが出来た。今回は質疑応答を通じて得た気づきを実例と共に言語化し、読者の皆様に共有できればと思う。

1. 子どもがどこに興味を持つかは分からない

この親子同席のセミナーでは、主にお金について親子で一緒に学ぶというテーマだったが、学ぶ上での前提となる知識量はさすがに大人と子どもでは差があるため、前半を子ども向け、後半を大人向けとしていた。

セミナーが一通り終わると質疑応答に移ったのだが、ある父親がセミナーの内容について質問をした。「我々の子どもたちが定年を迎える時には、退職金はもらえないのが普通になるのではないか?」

子ども向けのセッションで、仮に65歳で仕事を辞めて、90歳まで生きると仮定した場合、仕事を辞めるまでにいくら貯めておかないといけないかという話をしたのだが、その際に公的なデータから平均的な年金額や退職金の平均額などを使用していた。その父親からすると、仮定が自身の実感とは乖離があったため、前述のような質問をしたという。

その質問に対しては、公的なデータを基に過去から現在に至るまでの趨勢を提示したうえで、最も可能性があるシナリオはこうであるという話をして納得いただいたのだが、その時に同席していた息子がボソっと言った。「退職金って何?」

どうやら、退職金の意味は名前から理解できているが、なぜもらえないかもしれないという話になっているのかについて、興味を持ったようだ。

2. 子どもの前でお金の話を隠さない

一通り退職金についての会話を親子と一緒にしたところ、今度は別の母親から質問が出た。「家ではお金の話をしないようにしているが、どのようにするのが正解か分からない」

先ほどの親子と退職金の話をしていた時、子どもが気になるのは「もらえるとしたら、いくらぐらいなのか?」という平均額と、「お父さんはいくらもらえそうなの?」という自分の家族に関することであった。この会話のやり取りを聞く中で、その母親はこのようなお金の話、たとえば具体的な金額などを親子で話すことが子どもにとって良いことなのか、いまいち自信が持てないと言う。

その場でも話したのだが、無理に子どもの前でお金の話をする必要はないと考えている。しかし、この退職金の話のように、子どもが興味を持って聞いてきたときに、答えようとするとどうしても具体的な金額などを話さなければいけないこともあるだろう。

そのような時は、隠さずにしっかりと話してあげることが重要だと思う。どこまで具体的な金額を話すかはケースによって変えていく必要もあるが、隠すのだけは避けるべきだ。

子どもは大人が思っている以上に、いろいろなことを敏感に感じ取っている。大人が話を逸らしたり、何かを隠したりすると、「お金の話=恥ずかしい、悪いこと」などといった、非常に悪い連想をし、それが深層心理に刻み込まれかねないのである。

文=森永康平

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