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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版


「例えば、私は日本ほど原作が豊富な国はないと思っていますし、日本アニメのクオリティは他国が真似しようと思っても真似できない。世界に誇るべきクオリティの高さだと思っています。また、韓国のKドラマ、インドのボリウッドもそうです。アジア地域における多様性や国ごとのコンテンツスタイルは、とてもユニークだと思います。その多様性や多彩なスタイルを生かしたコンテンツをローカルのクリエイターと制作することによって、より多くのファンを獲得できると確信しています」(テッド)

1997年にDVDのレンタルサービスとして創業されたのち、07年にオンラインストリーミング配信サービスを始めたネットフリックス。その10年後、世界190カ国で1億3000万人の有料メンバーを抱える規模にまで急成長できた要因のひとつとして挙げられるのは、各地域に根ざした「ローカライズ戦略」にある。

「サービスを展開していく中で分かったのはブラジルやメキシコなど、国ごとでユーザーのコンテンツの好みは異なる、ということです。例えば、ブラジルには中南米で最大規模のテレビ局『グローボ』があり、彼らがマーケットシェアを握っています。そうした市場でサービスを展開し、有料メンバーを増やすのは困難。

それを踏まえて、ネットフリックスが採った戦略は“各地域のクリエイターに投資し、自由にコンテンツを創り出してもらう”ことでした。各地域のクリエイターが制作したコンテンツは、各地域の文化に適する。そうして生まれたコンテンツは各地域で受け入れられた後、世界中の人たちに広がっていく。だからこそ、各地域のクリエイターに投資し、コンテンツ制作に注力していくのです」(テッド)

実際、ネットフリックスでは『ハウス・オブ・カード 野望の階段』や『ストレンジャー・シングス 未知の世界』、『13の理由』といった人気シリーズに加え、ここ数年、スペイン発のドラマ『ペーパー・ハウス』や『エリート』、デンマーク発のドラマ『ザ・レイン』など、最近は各地域で制作されたコンテンツの展開にも力を入れている。

「もちろん、各地域発のコンテンツが世界中で受け入れられることは一筋縄ではいかないと思っています。だからこそ、ネットフリックスは常に各地域にある“本物のシーン”を伝えることを意識してコンテンツを制作しています。

例えば、私は東京、ムンバイ、それからシンガポールもそうですが、各地域へ旅をし、現地の文化を知ることでネットフリックスが各地域でブランドを築いていくための知識を得ています。その土地、その土地で得られる知見や経験、文化の学びをひとつずつ得ることで、作品づくりに生かすことができると思っています。その地域のリアルを外に伝え、興味を持ってもらえるようにする。それにより、コンテンツを世界中へと広げていくことができる、と思っています」(テッド)

“勝つ”意識は持っていない

19年以降、アジア地域でのコンテンツ展開に注力していくネットフリックスだが、決して、アジア地域を制覇するためのものではない。あくまで、メンバーに豊富なコンテンツのラインナップを提供することが主目的だという。実際、アジア発のオリジナルコンテンツの視聴時間の半分以上が、アジア地域外によるものという結果も出ている。リードはこう語る。

文=新國翔大 写真=小田駿一&ネットフリックス

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