今回のAI司会者は、人工知能テクノロジー企業のObEN Inc.が作成したもので、同社はこれが「世界初のAI司会者」であると述べている。
ObEN は同社のAIテクノロジーで単なるアバターを作成するのではなく、マシンラーニングやコンピュータビジョン、自然言語処理や音声合成技術などを駆使し、有名人のバーチャルなコピーを「再構築」したと述べている。
CEOのNikhil Jainはフォーブスの取材に、同社のパーソナルAI(PAI)技術は、社会に大きな革新をもたらすと述べた。PAIテクノロジーを用いた、医者や看護師、教師の開発も進行中という。
出張で家を空けることの多いJainは、当初は自分の子供たちのためにこの技術を開発したという。「自分のデジタルコピーが家にいて、私と同じように会話ができるとしたら、子供たちが寂しく感じることを減らせると思った」
人間そっくりなデジタルアバターはこれまでにも存在したが、ObENのAIアバターは実在する人物と同様な動きや会話ができる点が特徴だ。既存のアバターはあらかじめ入力した動きをするのみだったが、ObENのプロダクトはAIが状況に応じた対応を行うという。
ObENはニューラルネット技術を用いてデータのインプットを行い、その人物の声や話し方、動きや行動などのパーソナリティを忠実に再現するという。
出資元にはテンセントとソフトバンク
「データをインプットし、AIが学習することにより、会話を行うだけでなく、歌うこともできるようになった」とJainは話す。「さらに、本人が話せない外国語で話すこともできる。英語で入力を行い、中国語や日本語、韓国語で会話を行うことも可能だ」
ObENはこれまでアイドルグループSNH48のアバターを製作したほか、多くの中国人のセレブのAI版も手がけてきた。同社はWeChat経由で、アバターと会話ができるプラットフォームも開発している。
既にテンセントやソフトバンクからも出資を獲得したObENは、同社のAIテクノロジーをさらに広範囲な領域に導入しようとしている。「ヘルスケア領域への進出も進めている。バーチャルなドクターやナースが、健康関連の質問に答えるなどの利用法も想定できる」とJainは話した。