年間被害額2千億円以上、DDos攻撃の撲滅に向け20カ国が連携

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複数のコンピューターから標的のサーバーに、大量の処理要求を送り、システムをダウンさせるDDos攻撃の脅威は、ここ数年で大きく高まっている。攻撃によって、一つの国全体のネットワークが停止する場合もあるほどだ。

しかし、各国の捜査機関もこの状況に手をこまねいているばかりではない。2018年にはオランダと英国の警察が「Operation Power Off」と呼ばれる作戦を展開し、世界最大規模のDDoS攻撃サービスを展開していたWebstresser.orgを摘発した。

Webstresserは特定の企業や個人に対するDDoS攻撃を請け負う組織で、背後にはこれらの攻撃に対価を払うメンバーがいることが明らかになった。英国だけで複数の容疑者が逮捕され、欧州警察機構の発表によると今後250名以上の関係者が起訴される見込みだという。

DDoS攻撃は非常に単純な仕組みで、安価に行えるものだ。しかし、この攻撃が継続的に行われた場合、企業に甚大な経済的損失を与えることになる。2017年に1000社を対象に実施された調査では、損失の合計は22億ドル(約2400億円)にも達すると推定された。

その後、20カ国の捜査機関が共同で、DDoS攻撃のサービス運営者らを突き止める動きを進めた結果、2018年の終わりまでに、さらに17のサービスが摘発された。そのうち15は、米国のFBIによるものだった。

ただし、この攻撃との戦いは現在もなお継続中だ。欧州警察機構は今後、DDoS攻撃に関わる全ての組織や個人を、追い詰めていくと宣言している。単なるゲーマーであろうが、プロのハッカーであろうが、金銭的対価を得るためにこの攻撃に参加するあらゆる人物を処罰すると、彼らは宣言した。

編集=上田裕資

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