名作モデルがアップデート 進化する腕時計とブランドヒストリー|Vol.1


7/20 JAEGER-LECOULTRE Reverso Classic Medium Smallsecond

アール・デコから着想を得た幾何学的なフォルム。“クルー・ド・パリ”模様が施された美しきダイヤル。1930年代に開発された気品溢れる長方形の腕時計は、ジャガー・ルクルトを象徴するモデルとして、長きにわたり愛されてきた。

ケースをクルッと反転させることができるレベルソは、そもそもポロ競技から生まれた腕時計である。接触プレーもあるポロ競技で、風防のガラスが破損することを避ける目的で、プレーヤーたちのために作られたスポーツウォッチだった。そして、反転した裏蓋にはエングレービングを施すスペースがあり、オリジナリティを出すことも可能である。このモデルは、そのファーストモデルの要素を多分に受け継いでいる。



ケース素材:ステンレススティール
ケース径:42.9×25.5㎜
ムーブメント:手巻き キャリバー 822/2
価格:66万円
問い合わせ:ジャガー・ルクルト 0120-79-1833

アントワーヌ・ルクルトによって1833年にスイスのル・サンティエにて創業。これまで1200種類以上のキャリバーを製造、約400件の特許を取得しており、そのなかには世界最小キャリバーや世界でもっとも複雑な腕時計、さらには半永久的に動くタイムピースも含まれている。現在はレベルソを含め8つの時計コレクションを展開しており、ヴェネティア国際映画祭や中国古典映画の保護などでパートナーシップを行っている。

8/20 PANERAI Luminor Due 3days GMT Power Reserve Automatic Acciaio

洗練された技術とシンプルでミニマルなデザインを持つルミノール ドゥエ。スモールセコンドカウンターと日付を備えたベーシックなパネライデザインのダイヤルには、サンブラッシュ仕上げが施されている。

それによってエレガンスな腕時計にスポーティさが加えられることに。GMT機構が搭載されており、第二時間帯の時刻を知ることができ、5時位置にパワーリザーブ表示、9時位置に昼夜表示が配されている。ムーブメントは、2バレルの自動巻きで3日間のパワーリザーブを備えているので、週末を挟んでも動き続けている。しかも、ムーブメントの厚みが僅か4.8㎜と薄いので、ビジネスシーンでも非常に実用性の高いモデルとなっている。



ケース素材:ステンレススティール
ケース径:45mm
ムーブメント:自動巻き キャリバー P4002
価格:122万円
問い合わせ:オフィチ-ネ パネライ 0120-18-7110

1860年ジョヴァンニ・パネライによって時計店・時計学校として創業。1930年代、パネライ社は精密機器納入業者であった縁で、イタリア海軍より潜水部隊用時計の製作依頼を受け、36年にラジオミールを完成させる。その後、特徴的なリリュウズプロテクターを備えたルミノールを製作。長年イタリア海軍などで軍事機密とされてきたが、93年に市販化され国際舞台にデビュー。腕時計大型化の火付け役となった。

9/20 MORITZ GROSSMANN Benu 37

モリッツ・グロスマンのファーストモデルであるベヌーから、10周年を機にケース径37㎜の小径モデルが発表となった。このモデルのケースはオリジナルを踏襲しているが、アラビア数字のインデックスは、1930年代の腕時計からインスピレーションを得て新たにデザインされたもの。

滑らかな曲線を描いた数字が、柔らかな印象を与えている。木の葉型の針はモリッツ・グロスマンならではのブラウンバイオレット。インデックス、分目盛も、針の色にあわせたブラウンバイオレットカラーである。シルバー無垢のダイヤルとのコントラストは、とても目を引き、高い視認性を確保している。また、精緻なキャリバー102.1をシースルーバックから見ることができる。



ケース素材:18Kホワイトゴールド
ケース径:37mm
ムーブメント:手巻き キャリバー 102.1
価格:320万円
問い合わせ:モリッツ・グロスマン・ジャパン 03-5615-8185

2008年にドイツ時計の拠点となった、グラスヒュッテにて創業。モリッツ・グロスマンの名は、グラスヒュッテ時計産業の黎明期に活躍、グラスヒュッテ時計学校(1878年創立)の初代校長を務めた人物から。バイエルン生まれの女性時計師クリスティーネ・フッター氏(現CEO)が、出資者を募って立ち上げた同社は、このモリッツ・グロスマンの名の下に、昔ながらの手仕事にこだわったウォッチメイキングを行っている。

10/20 HERMÈS Arceau Chrono Titane

1978年の誕生以来、30年以上も愛され続けている定番モデルがアルソーだ。特徴は、インデックスに配されている、優雅なギャロップからインスピレーションを得た独自のアラビア数字。さらに鎧をかたどったアシンメトリーのラグである。そこに伝統的なラウンドケースやリーフ針などが融合されており、クラシカルかつオリジナリティ溢れるデザインとなっている。

今年は、チタンケースのクロノグラフモデルが加わった。アルソーが持つエレガンスにチタン素材とブラックダイヤルが融合。クロノグラフとも相まって、とてもスポーティに仕上げられている。装着されるレザーストラップは、馬具工房のスピリットが宿るサドルステッチが施されている。



ケース素材:チタン
ケース径:41㎜
ムーブメント:自動巻き
価格:56万3000円
問い合わせ:エルメスジャポン 03-3569-3300

エルメスの時計進出は意外と早く、1970年代にはすでにスイス・ビエンヌに時計製造の拠点を構えており、以来、この地で開発、製造を行ってきた。その歴史の中で、「アルソー」「クリッパー」といった人気コレクションも生み出している。近年は、ムーブメント製造会社ヴォーシェ・マニュファクチュール・フルーリエ社との関係を深め、老舗時計メーカーと遜色ない技術力を擁している。写真は、現代表のローラン・ドルテ氏。

text by Ryoji Fukutome

この記事は 「Forbes JAPAN 日本の起業家」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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