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グーグル社員の「食べ残し」を半分にした2つの戦略

ブッフェ形式の社食においては、「食べ残し」は永遠の課題です。環境の問題はもちろん、廃棄率を下げれば、食材に投資できる、すなわち「質」を上げることができる。かといって「コロッケは1人1つ」などと掲示するのは、楽しくないしネガティブでいやなんです。

グーグル時代、僕はそこで2つの方法を考えました。

まずは「自分で捨ててもらう」こと。ゴミ箱を食べる人たちの導線の近くに置いて「見える化」しました。そして、たくさん捨てている人を見かけたら、洗い場から「お口に合いませんでしたか?」と声かけをしました。

実はグーグルのフードチームでは、洗い場は花形でした。フランスから出張で来ていた社員から、「洗浄チームの○○のコミュニケーションがすばらしかった」と帰国後、メールをもらったこともあります。

まあ自分で捨ててもらうと、その分の減った工数で、スタッフがフロアの社員に声がけできる。コミュニケーションが取れる、という利点もありましたね。

もう一つ、サラダバーのドレッシングのレードル(おたま)の大きさを半分にしました。実はみなさん、ドレッシングを汲む回数は道具の大小に関わらず同じなんですよ。結果、ドレッシングの消費量をちょうど半分にすることに成功した上、洗い場も、シンクの中がドレッシングの油でドロドロ、という状態から救われて一挙両得でした。


Source: Google

サッカーと食のサービスは戦場が同じ──危機管理にも応用

グーグルより前のことですが、僕には有楽町西武の社食の店長として、計画予算の140%くらいの売上げを毎月達成したという経験もあります。それには、サッカー選手としての経験が生きたんです。

サッカーは、攻めるに当たって、俯瞰して物事を見ないといけません。たとえば攻めているとき、ドリブルしながら、目の前の選手はもちろん、右や左の選手がどう動くかを先読みしながら前へ前へをと進んでいく。

食堂も同じで、開店後すぐにフル回転にはならない。まずはフロアにお客さんが入ってくる、オーダーをとる、厨房が忙しくなる、最後に洗い場が慌ただしくなる……という具合に、動きとか順番があります。

お客さんが入って来るのに15分くらいかかるだろう、その間洗い場は暇、だから洗い場からフロアに人を出しておいて、僕は前に出て、オーダーを取りきったら後ろに下がって、この彼を自分がいたポジションに動かして……という配置を、刻々と変化する状況を予測しながらやる。それから働いている人間の顔色を見て、調子悪そうだなと思ったらパスをゆるめに出しておこうか、とかも考えますね。

2011年3月11日、東日本大震災に見舞われたグーグルのカフェテリアでも、この習慣が役立ったと思います。

強い揺れの後、フード供給に関わる設備や調味料などの損害をすぐに確認しました。たまたま金曜日で、ふだんはカフェテリアで夕食をとる社員は少ないので、食材はあまり仕入れていなかったんですが、帰宅できない社員がかなりの数になりそうという情報が集まってきたので、ある食材を棚卸しして、どんな料理をどれだけ出せるか弾き出したんです。

状況が刻一刻と変化し、情報が次々に入ってくる中、自分もすべて動きながら、予測しながらパスを出せたかなと思います。結局、夜食は温かいパスタを出すことにして、災害で帰宅できなくなった社員の人たちにほっとしてもらえました。

文=石井節子

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