経済・社会

2019.01.30 06:30

ファーウェイが盗んだとされる、米Tモバイルのロボット技術

米国司法長官は、ファーウェイの孟 晩舟CFOを起訴したと発表。(Photo by Chip Somodevilla/Getty Images)

米国司法長官は、ファーウェイの孟 晩舟CFOを起訴したと発表。(Photo by Chip Somodevilla/Getty Images)

中国のファーウェイは米連邦検察から、米国企業の企業機密を窃盗した罪で訴追された。検察によると、ファーウェイは2012年に米国のTモバイルがスマートフォンの品質検査に用いる「Tappy(タッピー)」と呼ばれるロボットの、技術情報を盗んだという。

合衆国司法省は、ファーウェイが機密を盗んだ社員らに、ボーナスを支払っていたとも述べている。ファーウェイからのコメントは、現時点では得られていない。

「ファーウェイは米国企業の知的財産を、組織的に盗み出す手段に打って出た。それにより、彼らは不正な方法で市場での優位性を得ようとした」と、FBIのディレクターのChristopher Wrayは述べた。

司法省によると、ファーウェイの社員はTappyの写真を密かに撮影していたという。さらに、複製品を作るため、盗んだロボットを自宅に持ち帰っていたという。

この件でTモバイルはファーウェイを訴えたが、これは一部の不良社員がやった仕業だとファーウェイは述べたという。しかし、司法省はこれがファーウェイによる組織的犯罪であると主張し、社員に窃盗を指示したEメールも入手しているという。

仮に有罪となった場合、ファーウェイは罰金の支払いを求められる。企業の機密情報の窃盗は、最大で500万ドルの罰金もしくは、その機密の価値の3倍とされ、高い方の金額が適用される。また、司法妨害に関しては最大で50万ドルの罰金が適用される。

今回のファーウェイの一件の背後には、政治的思惑も見て取れる。FBIのディレクターのWrayは1月28日、次のように述べた。「ファーウェイのような企業に、米国の通信インフラへの立ち入りを許した場合のリスクを、我々は非常に慎重に考える必要がある」

米国のトランプ政権は同盟国らに対し、次世代の通信ネットワークである5Gインフラに、いかなる中国製品も用いないように呼びかけている。

中国政府は昨年末、米国側が主張する中国による知的財産の窃盗やサイバー攻撃が、今後の米中関係に深刻なダメージを与えると述べていた。中国政府はまた、カナダで拘束されたファーウェイCFOを解放するよう求めたが、米国はカナダに対し、CFOの身柄の引き渡し要求を続けている。

編集=上田裕資

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