退職後の生活に関する意外な3つの事実

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現在主流となっている退職ストーリーは、老齢による制限が出始め最終的には亡くなる前の、新たな自由や余暇の時間が持てる比較的短くシンプルなライフステージを描いている。しかし、退職という概念が作られた祖父母や曽祖父母の時代と比べると、現代の「退職後」ははるかに長い。

多くの人は80歳に達するまで健康に生きるようになり、退職後に過ごす日数は8000日近い。退職後の時間は他のライフステージの期間とほぼ同じで、生まれてから大学を卒業するまでは約8000日、卒業から中年までは8000日、中年の危機から退職までも8000日だ。

孫を訪ねたり旅をしたり、家族と休暇中に夕食を取ったりというイベントも、人生の中の一つ一つの点でしかない。こうした輝かしい瞬間を毎日楽しむ人はほとんどいない。こうした素晴らしい出来事の合間に何をするかを考えておくことが本当に大切なことで、包括的な退職計画の最も重要な要素だ。

3. 退職後にも大きな決断がある

私たちはホテルに着いた。トランクから私のバッグを取り出したアレックスは深い息をつき「私たちはここにとどまるか、どこかに引っ越して新しいことを始めるか考えなければならない」と語った。

退職後に決断を下すことがあると考える人はほとんどいない。大きな決断などもってのほかだ。大きな決断や計画は、退職前にしておくものだと考えている人が多いが、退職後でも大きな影響をもたらしかねない選択に迫られることがある。アレックスが指摘したのはそのうちたった一つ、引っ越して生活のルーティンを変えるかどうかだ。その他の決断には、いつ働くのを完全にやめるか、最善の医療の選択肢は何か、長期的なケアをどのように管理するか、などがある。

退職後の生活は、ライフステージ全体についての物語だ。ほとんどの物語と同様、事実も一部含まれているものの、脚色されているものも多い。フルタイムの仕事を終えた後も生涯収入が必要になるという点は事実だ。しかし現在の退職ストーリーには、経済的安定と目標設定を超えた、想像性豊かだが現実的な計画を何章か加える必要がある。

アレックスとリーにとって問題は金ではなく、退職後の生活をどのように営むかだ。退職後の生活について書かれた短い物語を、私が以前「長生き計画」と呼んだ物語へと書き直さなければならない。経済的安定を従来通り優先しつつ、成人してからの時間の実に3分の1を占めるこのライフステージを、誰と、何をして、どこで、いつ、どのように過ごすかをきちんと明確にし、退職後の時間を意識的・包括的に考えなければならない。

翻訳・編集=出田静

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