「200年前、(欧米の)小さな町に住んでいたとしよう。『新しい人と出会いたい。より良い豊かな人生を送りたい』。そう思ったら友達が隣の町の友達を紹介してくれるかもしれない。パーティーに行ったら、お互い目が合った瞬間に『友達になれるかも。この人と気が合いそう』と思うかもしれない。それってすごく自然な人との出会い方だと思う。
(現代なら)カフェで友達に紹介してもらった人と会った瞬間、『この人とは合わないな』と判断することもあるだろう。Tinderは『合う/合わない』を直感的に判断できる、万国共通の簡単なツールなのだ」
Tinderは2012年にアメリカでローンチし、オフィス近くのロサンゼルスの大学生から急速にアメリカ全土に広がり、2019年現在、世界190カ国以上、46言語で使われている。15年から日本語での提供が始まった。Tinderの全ユーザーのうち8割がミレニアル世代だという。
プロフィールとして、写真や年齢、職業、自己紹介文などを設定すると使い始められる。スマートフォンのGPSをもとに、設定した範囲内の場所にいる人のプロフィールが画面上に表示される仕組みだ。
写真やプロフィールを見て気になった人には「右スワイプ」をして好意を示し、興味がない人は「左スワイプ」でスキップ。お互い気に入れば、メッセージをやりとりすることができる。
アメリカでは社会現象にもなり、セイドマンCEOは「NBAの試合で、ある選手がスリーポイントシュートをした際にアナウンサーが『右スワイプ』と連呼した。つまり、『成功』や『楽しい』と同義語になったのだ」という小話も披露した。
日本市場について、セイドマンCEOは「ここ数年間で拡大し、楽しみなマーケット。来年は東京オリンピックがあり、私を含めて世界中が注目している」と語った。これまでもTinderが世界に広まったきっかけには、ソチオリンピック(2014年)があったという。
「オリンピックなどカルチャーモーメントの時は、世界中の人がTinderに集まって『パスポート』(現在地を変更できる有料の機能)を使う。面白いことが起こっている場所に身を移し、その町のカルチャーライフを楽しむ現象が起こっている」と話した。観客だけでなくアスリートもTinderを使って出会う動きがあったというから驚きだ。