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2019.02.01

休暇取得に負い目を感じさせる悪質な職場 米国で増加傾向に

Stokkete / shutterstock.com

私は約1カ月前、レスリー・スティーブンスハフマンというジャーナリストから電話を受け、休暇とマネジメントについてインタビューしたいと告げられた。私が以前、多くの人(ある調査によると47%)が付与された休暇を消化しきれていない米国の現状を批判した記事を読んだとのことだった。

驚くことに彼女は、休暇やマネジメント一般についてではなく、「バケーション・シェーミング(休暇取得に負い目を感じさせること)」をテーマに話したいとのことだった。私はその言葉を耳にしたことがなかったが、それが何かはすぐに理解できた。

この言葉が単に作られたのみならず、社会に定着してしまったことに対してショックを受けた私は、その衝撃から立ち直った後、これがどれほど広まっているのかを尋ねた。すると彼女は、ますます一般的になってきていることを説明してくれた。

彼女はその後に執筆した記事で、バケーション・シェーミングの定義を、「同僚や上司が従業員にプレッシャーや罪悪感を与えて休暇取得を思いとどまらせる職場環境」と記している。

なるほど、理解がいった。私は最近、職場でのストレス増加その対処方法について2件の記事を書いたが、バケーション・シェーミングはまさにストレスを生む行動の良い例と言える。

これについて考えるほど、自分が知らず知らずのうちにこの現象に接していたことが分かってきた。

つい先月に旧友と話した時には、最近休暇を取ろうとした際の経験を聞いた。上司は彼に休暇が必要であることを分かっていたので、休暇取得を促していた。だが、実際に休暇を取って家族と旅行に出かける時期が、ある重大プロジェクトの締め切りと重なってしまった。すると上司は、今はタイミングが悪いかもしれないと言い始めたという。

それでも彼は休暇を取ったが、それは休暇と呼べるのか疑わしいものだった。彼は頻繁に携帯電話でメールをチェックせねばならず、不規則な時間に電話会議に引っ張り出された。仕事がいつくるか分からない状態だったので、ある意味、職場で働くよりもストレスが溜まったという。

バケーション・シェーミングは誤ったマネジメント方法

率直に言わせてもらうと、バケーション・シェーミングは、まったくもってばかげた行為であり、従業員のやる気を失わせる誤ったマネジメント方法だ。

人はリラックスし、リフレッシュして充電する必要があり、時には日常から離れて周囲との連絡を断つことも必要だ。長期的に見るとバケーション・シェーミングは生産性の向上にはつながらず、逆に従業員の不満や離職の問題に発展する。

マネジメント面から見ると、潜在的な要因は理解できる。今はやりの過度な人員削減により、ひとりの従業員が一時的にでも現場から離れることが難しくなる。しかしこれはバケーション・シェーミングの口実にはなるが、正当な理由にはならない。

なお、読者の皆さんには本記事を自由にプリントアウトして、好きなところにマーキングをし、職場で読むべき人の目につく場所に貼り出してもらっても一向にかまわない。

編集=遠藤宗生

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