ビジネス

2019.01.30

「アイデア」から「ヒト」へ! キックスターター創業者が描く次世代ネットワーク

チャールズ・アドラー(写真=アレックス・ウォルバウム)


──そして生まれたのが「ロスト・アーツ」。

アドラー:キックスターターを立ち上げる前のことだが、音楽活動で使うDJ用のターンテーブルを置く家具がほしいと思っていた。でも、それを作れる人に出会う方法がなかった。そして2014年になっても、まだこの問題が解決していないことに気づいた。そこでキックスターターで、業界の垣根を超えて人が集まれる私的な空間を作るプロジェクトを立ち上げることにした。

──クリエイター支援を目的とした会員制のコミュニティですね。

アドラー:ウェブプラットフォームと参加者がリアルに集まれる場所の融合だが、形にこだわらず、誰もが集まれる空間を目指している。一昔前なら知識とは誰かが一方通行で伝えるものだった。しかし今は知識やスキルを共有する時代。人を結びつけることで、互いに足りない知識を補い合うことでプロダクトやサービスを作り出せる。「ヒトのネットワーク」を作るのが目的だ。

──会員とプロジェクトの選考基準は?

アドラー:まずは「ヒト」から選ぶ。キックスターターと同じように、キュレーションから始めて徐々に開放していくことを考えている。

──気になるプロジェクトはありますか?

アドラー:IoT(モノのインターネット)端末とAI(人工知能)を使って、室内でマッシュルームを培養する会社「Sojourn Fare(ソジョーン・フェア)」などは面白い。テクノロジーを駆使して効率よく育てれば、食糧問題にも対応できる。

──デザイナー/テクノロジストとして心がけていることはありますか。

アドラー:世界各地に出かけ、現地の面白い人々を探し出すことだ。彼らとの会話を通じて文化や考え方を学べる。我々の仕事は世界中の人々の生活にインパクトを与えることができる。

知識や物の見方を身に付ける努力をしていないなら、デザイナーやテクノロジストとしての務めを十分に果たしているとは言えない。デザイナーやテクノロジストを自負するならば、もっと積極的に旅するべきだ。


チャールズ・アドラー◎キックスターター共同創業者。現在は「LostArts」を運営している。

インタビュー=井関 庸介 写真=アレックス・ウォルバウム

この記事は 「Forbes JAPAN 世界を変えるデザイナー39」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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