ビジネス

2019.01.30

「アイデア」から「ヒト」へ! キックスターター創業者が描く次世代ネットワーク

チャールズ・アドラー(写真=アレックス・ウォルバウム)

テクノロジーとデザインは密接不可分な関係にあり、互いを進化させている。そうしたなか、世界的クラウドファンディングサイトの創業者は、両者の融合を加速させる試みを始めている。


世界中から集まるアイデアに出資し、形にすることを可能にしたクラウドファンディングサイト「キックスターター」。共同創業者の一人であるチャールズ・アドラーは2013年に同社を離れ、新たに立ち上げた会員制コミュニティ「Lost Arts(ロスト・アーツ)」で起業家やクリエイターの活動を支援している。

デザイナーで、テクノロジストとしても知られる彼に新しいプロジェクト、そして将来のビジョンについて聞いた。

──テクノロジー業界に入った経緯は?

チャールズ・アドラー(以下、アドラー):マーク・アンドリーセンがウェブブラウザ「ネットスケープ」を開発したのが大きかった。音楽や画像をインターネット上で表現し、それを見つけられるようになったことで人生観が変わった。大学を中退し、プログラミングの世界に飛び込むことにした。

──もとは建築家志望だったそうですね。

アドラー:大学では機械工学を専攻して建築家を志したが、父にやめるよう説得されて断念した。でも、結果としてよかったから父には感謝しているよ。それに建物ではないが、ソフトウェアを“設計”するようになったから、ある意味、夢が叶ったといえなくもない。

──キックスターターを創業しましたね。

アドラー:大学を中退後、ウェブマスターとして顧客のサイトをデザイン・開発する傍ら、サイドプロジェクトでクリエイターを支援する電子出版物を作り始めた。そのときに、他の創業者たちと出会ってクラウドファンディングの手法を組み合わせることで、資金面の支援ができることに気づいた。

「ヒト」にこだわったコミュニティ

──そのキックスターターを辞めたのは?

アドラー:自分にとっては「子供」同然だったので簡単な決断ではなかった。それでも、他に探求すべきことがあると考えて決めた。

──次の計画はあったのでしょうか。

アドラー:まったくなかった。ペンとノートを持って地元のカフェやバーに入り浸り、自分の今までの人生やパターンについて振り返って、次に何をすべきかを考えた。家族と世界各地を回りながら、「子供たちにどんな世界を残せるか」についても考えるようになった。
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インタビュー=井関 庸介 写真=アレックス・ウォルバウム

この記事は 「Forbes JAPAN 世界を変えるデザイナー39」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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