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2019.01.31

米国の「ラストワンマイル」戦線に乗り込む新企業、Wheelsの挑戦

Foxy burrow / Shutterstock.com

米国で現在、急速に市場が拡大しているのがラストワンマイルの移動に役立つ、電動キックスクーターのシェアサービスだ。この分野では元ウーバー幹部が設立した「Bird」をはじめ、「Lime」や「Scoot」「Skip」などの企業が市場を争っている。また、昨年フォードが買収した「Spin」は全米100都市への進出を宣言した。

この市場に新たに乗り込んだのが、犬の散歩代行アプリ「Wag」を大ヒットさせ、4億ドル(約440億円)近い資金を調達後に、同社のオペレーションから離れたViner兄弟だ。JonathanとJoshua Vinerの2名は、競合とは異なるアプローチで市場に乗り込もうとしている。

ロサンゼルス本拠の「Wheels」を設立した2名は、サンディエゴでのベータテストを経て、3700万ドルの資金調達を果たし、事業を本格始動する。Wheelsは他の競合と同様に、専用の駐輪所を持たないドックレス形式のサービスだが、電動キックスクーターではなく、自社製の電動自転車を開発した。

「電動キックスクーターは若い層には人気だが、バランスをとるのが難しく、高年齢層からは敬遠されがちだ」とViners兄弟は話す。Wheelsは14インチの車輪を持つ、専用の自転車を開発し、全ての年齢層の人々にふさわしいサービスを目指している。

サンディエゴでのテストでは、利用者の3分の1が35歳以上の人々だったという。「自分の両親などは、電動キックスクーターは怖くて乗れないと話している。しかし、自転車であれば誰でも乗りこなせるし、より大きな市場を相手にできる」と兄弟は述べた。

「膨大な時間をかけてリサーチを行い、最適な設計や製造プロセスを研究した」と同社のプレジデントを務めるJonathanは話す。Wheelsの自転車の大きな特徴の1つは、バッテリーを着脱可能にしたことだ。交換バッテリーは街の各所に設置したハブで配布し、ユーザー自身が交換を行う。

また、Wheelsの自転車はモジュラー形式のパーツで構成されているため、問題が発生したパーツは即座に交換が可能だ。各車両にはブルートゥース接続対応のスピーカーを搭載し、ユーザーが好きな音楽を再生しながら乗車が行える。さらに、スマホを充電することも可能になっている。

Wheelsに出資したのは、Tenaya CapitalやBullpen Capital、Crosscut Capitalらだが、同社は今後「エンタメ業界やスポーツ業界出身の投資家らを迎え入れていく」という。また、匿名のセレブリティの力も借りて、知名度を拡大する戦略だという。

Wheelsは今回の資金調達と同時に、Birdとウーバーで役員を務めた経験を持つ、Marco McCottryをオペレーション主任として迎え入れた。さらに、元Lyftのプロダクト主任のBen Shakenが製品部門のチーフに就任した。

Wheelsは今年2月にロサンゼルスでサービスを開始し、年内に米国の15都市に進出する計画だ。

編集=上田裕資

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