CEOの柳澤大輔は、活動拠点を鎌倉にこだわる。それは、1998年に起業した頃からいつか鎌倉に住んで、鎌倉で働こうと決めていたからだという。
18年には「鎌倉資本主義」を上梓。地域経済資本(財源や生産性)、地域社会資本(人のつながり)、地域環境資本(自然や文化)の3つをバランスよく増やしていくことが人の幸せにつながるという考えを鎌倉から発信している。
どこにいても仕事ができる時代に、特定の場所に住む必要はあるのか。柳澤の考える、住めば誰もが幸せになれる街の条件とは。
──人はどんな街に住めば幸せになれるのかを考える上で、まず柳澤さんの幸せの定義を教えてください。
幸せは、その人の心の持ちようだと思います。面白法人は、どんな状況にあっても面白がれる人間になれば幸せになれるという考えからスタートしています。
だから、「幸せ法人」でもよかったのかもしれません。でも僕にとって、幸せという言葉の定義は狭いものでした。お花畑でのんびりして、何も起きない平和なイメージです。
でもそれって、つまらなそうですよね。いろんなことが起きる人生の方が絶対に面白い。だから、幸せなときもそうでないときも、面白がれる強さを持つ。面白いことは、幸せよりも強い。だから面白法人というネーミングにしました。
実際、幸福学の研究では、何も起きないと人の幸せ度は下がることがわかっているそうです。
──柳澤さんの思う、幸せな人の条件を教えてください。
僕自身は、幸せな人とは「なんでも面白がれる人」だと考えています。
幸福学研究の第一人者である慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の前野隆司先生によれば、以下のような考え方をする人は幸せになりやすいそうです。
1 : とにかくやってみようと思える
2 : ありがとうが多い
3 : なんとかなると思える
4 : 自分らしく、ありのままに生きる
「ありがとうが多い」以外は、カヤックが実践している「ブレスト」でトレーニングをすることで、誰でも身に付けることができます。
僕たちがブレストする上で特に大切にするのが「人のアイディアに乗っかる」、「とにかく数をだす」こと。
このふたつを念頭に続けていれば、何でもやってみようという気になるし、みんなが意見を出してくれるからなんとかなると思う。そもそも参加者全員が素の自分にならないと、多くの意見が集まりません。