ビジネス

2019.02.04 17:00

「人はどの街に住めば幸せになれるか?」 面白法人カヤック柳澤大輔の挑戦

面白法人カヤックCEO柳澤大輔



2018年にオープンした「町の社員食堂」。鎌倉ならではのメニューを、週替わりで楽しむことができる
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──ブレストも、自分ゴト化することもそうですが、地域との関わりを増やして幸せを最大化することは、職住近接でないと機能しないのではないでしょうか。
 
機能しないまでは思いませんが、職住近接は幸せに直結しやすい要素のひとつだとそう思います。僕自身、満員電車が苦手なこともあり、鎌倉・逗子・葉山に住む社員には住宅手当を支給し、職住近接を推奨しています。
 
鎌倉に拠点を持つ企業、団体30社が参画して完成した「まちの社員食堂」はカヤックのみならず、鎌倉を拠点にする企業の社員食堂です。鎌倉市内在勤の方とその同行者であれば、どなたでも利用することができます。

この間、カヤックの社員がランチに奥さんとお子さんを連れてきて一緒にご飯を食べるのをみて、やっぱり職住近接って良いなと思いました。
 
とはいえ、ワークスタイルやライフスタイルは、これからさらに多様化が進むと思います。二拠点や多拠点で生活したり働く人も増えていくでしょう。

カヤックの子会社である「カヤックLiving」で、移住したい人と地域をつなぐ「SMOUT」を立ち上げたのも、そんな思いからです。
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──鎌倉をさらに理想的な街にするために、取り組んでいることはありますか?
 
重要なのは、どう人のつながりを増やす仕組みを設計するかということです。
 
そこで、カヤックでは人のつながりが増える時にしか使えない、ブロックチェーンを用いた地域通貨を作ろうとしています。
 
ブロックチェーンの利点は、誰がどこで使っているかを全て公開できること。「この使い方は人のつながりを増やしているのか、減らしているのか」という議論が起こりながら、使い道は精査されていくと思います。
 
まずはカヤック社員の報酬の一部を、通常の給与に加えて地域通貨とすることからスタートしたいと思っています。

地域通貨の使用用途は、お祭りやイベントの参加費などに限定し、まちの食堂では、新しいお客さんを連れてきてご馳走する時などに使えるようにします。
 
人のつながりを可視化すると、そこにお金を使いたいという人や地域も増えてくる。ゆくゆくは、資本主義の最たるプレーヤーである上場企業まで普及することが理想です。
 
大企業が資本を増やしていく中で、投資や報酬の支払いの一部が人のつながりを増やす地域通貨に変わると、そういう使い方を増やしたいと望む社員が増えるはずです。
 
僕が作ろうとしている地域通貨の目的は、経済活動の中で人のつながりを強化しようとしているところを抽出して可視化すること。この取り組みが新たな地方創生の形として、ひとつの事例になればと思います。

構成=守屋美佳 写真=小田 駿一

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