トランプにみる「全部自分でやる上司」の問題点

ドナルド・トランプ大統領(Photo by Alex Wong/Getty Images)


スタンフォード大学経営大学院のジェフリー・フェファー教授はニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト、ジェームズ・B・スチュワートに対し、「(トランプが)持っているとみられる特性は、他人がどう思おうと気にしないことだ」と指摘。「これは、多くの人が持つ特性ではない。しかし、旧来の規範を破ることには特定のパワーがある」と述べた。

権力について研究・執筆活動を続けてきたフェファーが言うには、「私たちは、人柄の良い人の方がよいと口では言うが、実際には違う。研究結果からは、人々が勝者と付き合いたがることが示されている」という。

共和党はこれまで、トランプを2つの理由で野放しにしてきた。1つ目は、トランプの政策が自分たちにとって好ましいこと。2つ目は、トランプの支持基盤への恐怖、つまりトランプが共和党支持者からの圧倒的な人気を得ていることだ。トランプへの忠誠により、共和党はその根幹である国家安全保障や赤字財政支出、国債に関する保守的な根本方針を放棄するようになった。

トランプは、大統領としては特殊だが、そのマネジメントスタイルは目新しいものではない。トランプは、知ったかぶりの起業家に典型的な特徴を示している。

自身の行動の責任を取ることなく全ての決断をしたがるこうした起業家は、いずれ失敗するか、独力に頼る自分の方法には限界があると思い知ることになる。生き残った者は、自分は一歩引いて、助言に耳を傾け、そして何よりも優秀な幹部を育てて成功に必要な自立性を与えることを学ぶ。

トランプはまだこうした教訓を得ておらず、その結果、ホワイトハウスをスタッフの少ない家族経営ビジネスの寄せ集めであるトランプ・オーガニゼーションのように運営している。同社は少なくとも4度倒産したが、そのCEOは常に、きらびやかで無敵とも言える体裁を保ってきた。そのイメージによってトランプは当選したが、国が必要とするリーダーシップのスタイルを生み出すことはいまだにできていない。

編集=遠藤宗生

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