経済・社会

2019.01.28 11:00

トランプにみる「全部自分でやる上司」の問題点

ドナルド・トランプ大統領(Photo by Alex Wong/Getty Images)

ドナルド・トランプは大統領選で、「米国を再び偉大にする」ために現状を正せるのは「自分しかいない」と宣言していた。

自分の要求を意地でも通そうとしたトランプは、政府機関の一部閉鎖を引き起こし、連邦政府の職員80万人、そして数え切れないほどの請負業者の仕事を奪った。ホワイトハウスですら影響を受け、水道代の支払いが不能になったほか、スタッフの半数以下しか出勤できなくなった。

政府閉鎖はいずれ解決するだろうが、トランプのマネジメントスタイルには簡単に解決しない点がある。それは、ホワイトハウスで働く職員を確保できないことだ。

非営利団体パートナーシップ・フォー・パブリック・サービスによれば、ホワイトハウスでは現在、上院の承認が必要なリーダー職704件のうち271が空席となっており、その大半は候補者が上院の承認を待っている状態だ。さらに、閣僚職である国防、司法、内務の3長官は「代理」、つまり暫定の人物が務めている。ミック・マルバニー首席補佐官代理も同様だ。

当のホワイトハウスは平静を装っている。ホーガン・ギドリー副報道官は「トランプ大統領には、十分な経歴と才能のある高官らがおり、米国民のためのポジティブな行動計画を追求するための柔軟性と、適切な後任を選ぶための時間がある。たとえ民主党が、必要とされる候補者について騒ぎ立て、足留めし、邪魔し続けようとも」と述べた。

一方で共和党のジェームズ・ランクフォード上院議員はこれに異を唱える。同議員はCNNに対し、代理として任命された高官は「上院の承認を得た被指名人ができる仕事の全てを行うことはできない」と指摘。同じく共和党上院議員のジョン・コーニンもこれに賛同し、「上院の助言と同意を得て、十分に吟味され、承認された人々がいる方が常に良いと思う」と語った。

ホワイトハウス職員の数は今後も少ないままになりそうだ。スタッフの離職率は60%と、近年の政権では最も高い。トランプの下で働くことを検討している人は、大統領がこれまで閣僚や高官たちをどう扱ってきたかを見ればよい。トランプは頻繁に、高官に対してツイッター投稿で解雇通告をし、退任後に軽蔑の言葉を浴びせ、気に入らない相手への不快感を示してきた。それも、その人を採用したのは自分だという事実を都合よく忘れて。

このちぐはぐさは、責任欠如の証だ。自身の行動に責任を持たないリーダーは信頼性を保持することができない。トランプは、政府閉鎖について「責任は誰しもにある」と述べて責任逃れをし、自分の「独立性」を享受している。
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編集=遠藤宗生

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