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I write about the future of mobility and evolution of transportation.

Vytautas Kielaitis / Shutterstock.com

アップルが自動運転領域でどのような具体的プランを描いているかは、ここ数年、判然としない状況だった。しかし、同社の最新の動きから、アップル自身も明確なビジョンを描ききれていなかった可能性が浮かびあがった。

アップルで自動運転プロジェクトに関わった200名以上もの従業員が先日、このプロジェクトを離れることが明らかになった。「プロジェクト・タイタン」と呼ばれる同社の自動運転部門が、人員削減を実施することがCNBCのレポートで明らかになった。

「2019年の主要エリアに人員を集中させるため、組織の再編を実施し、一部の人員はマシンラーニングやその他の部門に移籍する」とアップルは声明を発表した。「自動化システム分野はアップルが最も注力を進める分野であり、マシンラーニング領域では最も野心的取り組みが進んでいる」と同社は述べた。

今回のアップルのアナウンスは、自動運転のテクノロジーの現実社会の導入に向けて、想像されていたよりも、長い時間が必要になるとの観測が高まる中で、出されたものだ。グーグル傘下アルファベットのウェイモは、この分野で最も先進的なテクノロジーを実現し、12月からアリゾナ州フェニックスで、商用サービスのテストを開始した。

しかし、ウェイモも「自動運転の普及までには、想定よりも長い時間が必要になる」と述べていた。昨年3月には、ウーバーの自動運転のテスト車両が死亡事故を起こし、このテクノロジーの今後に対する懸念が浮上していた。

その後もウェイモや、GM傘下の「クルーズ」らの自動運転企業らは、数十億ドルの予算を注ぎ、長期的見地から自動運転を活用した配車サービスなどを実現しようとしている。アップルはこれまで、同社がこの領域で目指すゴールが、車両の開発であるのか、その周辺のAI(人工知能)テクノロジーの構築なのかであるかを明確にしてこなかった。

ガートナーのアナリスト、Mike Ramseyは「アップル社内に、自動運転プロジェクトの究極的ゴールを視野に入れているメンバーがいるのは確かだ。しかし、それが一体どういうものであるのかは、外部には分からない」と述べている。

ティム・クックが「詳細を語らない」理由は?

アップルは2017年初頭から、レクサスのRXハイブリッドの小型クロスオーバー車両に改造を加えた車両のテストをカリフォルニア州で開始し、これまで72台の運行テスト許可を得たことが、申請書類から明らかになっている。同社は、昨年のテスト中に自動運転車に同乗した人間の「セーフティドライバー」が、運転を引き継ぐ必要性に直面したことを認めており、今後の数週間でその詳細が報告されると、州の広報担当者は述べている。

アップルの自動運転プロジェクトの詳細は、ほとんど明らかにされていない。一方で、2016年後半にも同社が数百名の自動運転部門のエンジニアを解雇したとの報道もあったが、アップルからの正式発表はなかった。同社はその以前に、1000名以上のこの分野のエンジニアを雇用していたとされている。

さらに2018年8月には、テスラの元エンジニアリング主任だったDoug Fieldがアップルのプロジェクト・タイタンに参加し、同社のシニアバイスプレジデントのBob Mansfieldとともに、プロジェクトを率いると伝えられていた。

CNBCは、今回の人員削減がプロジェクト・タイタンの組織再編に関わるものだと述べている。アップルのティム・クックCEOは本件に関する詳細についての言及を避けている。しかし、クックは2017年8月の決算発表の場で、「この分野で大きなプロジェクトを進めており、大型の投資を行おうとしている」と述べていた。

「AI関連のプロジェクトにおいて、自動化は全てのテクノロジーの源になる。自動化システムは様々なエリアに適用可能であり、自動運転はその一例に過ぎない」と、当時のクックは述べていた。

「このテクノロジーは様々な領域に適合可能だ。しかし、現時点でこれ以上の詳細を語るつもりはない」とクックは話していた。

編集=上田裕資

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