米ウォルマートがグーグルの「音声ショッピング」から離脱

(左から)Apple HomePod, Google Home, and Amazon Echo

米ウォルマートは2017年にグーグルとの提携で始動した、声で買い物ができるサービス「グーグル・エクスプレス」から離脱した模様だ。この動きは音声アシスタント市場で、アマゾンのアレクサと競合するグーグルにとって大きな痛手となる。

ウォルマートからの公式声明はまだ出されていない。しかし、グーグル・エクスプレスのサイトから、ウォルマートの名が消えたことに気づいたユーザーが、ツイッターでグーグルに質問したところ、グーグルはこれを認めた。

グーグル・エクスプレスは、米国の小売業界の2大巨塔であるウォルマートとターゲットとの提携を得ていたが、その1社が去ったことになる。

今回のウォルマートの判断は、グーグル・エクスプレス経由の売上が想定を下回った結果だと見られている。ウォルマート側はグーグルに頼るよりも、自社サイトを通じた商品のデリバリーに注力するほうが得策だと判断した形だ。

グーグル・エクスプレスは音声アシスタントの「グーグルアシスタント」がアレクサと戦う上で、最大の弱点であるショッピング機能の強化を狙い始動した。グーグルアシスタントは検索能力ではアレクサを上回るが、買い物面ではアレクサにはかなわない。

アマゾンのアカウントを持つ人々は、アレクサに声で命令するだけであらゆる商品を注文可能だ。しかし、グーグルアシスタントでの買い物は煩雑で、購入可能な商品もごく限られている。

グーグルアシスタントはスマートホーム領域では、アレクサを大きく上回る性能を持ち、連携可能なサードパーティ製のプロダクトも多い。しかし、アマゾンは買い物専用デバイスの「アマゾンダッシュ」をプライム会員には実質無料で提供しており、アレクサが家にあれば、買い物はアレクサで行うのが自然な流れだ。

過去12カ月間の実績を見てみると、グーグルにとっては厳しい状況が続いている。グーグルはアマゾンより優れたプロダクトを持ちながら、シェアを伸ばせていないのだ。この流れは、かつて家庭用ビデオ録画機市場で、ベータがVHSに敗退したことを想起させる。実質的な性能が劣る製品が、より優れた製品から市場を奪ってしまったのだ。

しかし、グーグル側にとって前向きな要素もあげておこう。スマートホームの普及が本格的に始まれば、グーグルが再び優位に立てるかもしれない。

編集=上田裕資

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