マイク・ペンス米副大統領もマドゥロを「独裁者」と呼んでいる。米政府が1980年代の冷戦時代のレンズを通して、マドゥロを見ていることを意味するものだ。
一方、上記の南米3カ国を含めた一部の国を除く大半の国は、ベネズエラの野党指導者フアン・グアイド国会議長を、民主的に選出された同国のリーダーとして認めた。グアイドはこれまで、与党・統一社会党(PSUV)を権力の座から引きずり下ろすため、国民のより強い支持を得ようと各地で集会を開いてきた。
ベネズエラの国民会議は、米国で言えば連邦議会に当たる。グアイドはベネズエラのナンシー・ペロシ(下院議長)のようなものだ。だが、およそ2年前、左派のPSUVのイエスマンたちは制憲議会を開き、(野党が多数を占めていた)国会から立法権などを剥奪した。そしてその後、PSUVはベネズエラを窮地に追い込んできた。
深まる混乱
ベネズエラの首都カラカスを拠点に活動する政治アナリストが米紙マイアミ・ヘラルドに語ったところによれば、「グアイドは希望とエネルギーの象徴になっている」。
ソーシャルメディアには先ごろ、国家警備隊の隊員たちが国民に抗議活動への参加を呼び掛ける動画が投稿された。マドゥロとPSUVにとって、これはクーデターを企てられたのも同然のことだ。同国内ではすでに至る所で、米中央情報局(CIA)の工作員がひそかに動き回っているかもしれない。
ベネズエラでは、兵士による反乱も起きた。国民の大半はこうした兵士たちを支持し、6桁に上る上昇率のハイパーインフレを引き起こし、通貨を使い物にならないものにしたマドゥロを拒絶している。
政権交代の可能性は高まっている。だが、マドゥロに代わるリーダーが誰になるか、現時点ではまだ分からない。PSUVを結成した故ウゴ・チャベス前大統領の遺産を受け継ごうとする同党の別の誰かが、その座に就くこともあり得るだろう。