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サンディエゴ・パドレスでフロントを務める斎藤隆

サンディエゴ・パドレスでフロントを務める斎藤隆に聞くメジャー流の組織論。その第2弾のキーワード、「グッドハウス・プレーヤー」とは何なのだろうか?(2019年1月25日発売の誌面と合わせてお読み頂きたい)


「スモール・ジャイアンツ」特集で取材した企業は、どこも組織づくりに苦労した経験をもつ。特に、経営者が病気や経営危機に陥り、社長の座を息子に譲ると、「若いやつに何ができる」という反発を社内から食らう。

では、野球はどうか。36歳でロサンゼルス・ドジャースに入団した斎藤隆は、ロッカールームとクラブハウスという言葉の違いに気づいた。ここに、日本とアメリカの組織に対する考え方の違いが表れているという。

「ロッカールームというと、道具を置いたり着替えたりするところであり、『ロッカールームで過ごす』という言い方はしませんよね。一方、クラブハウスはハウスと呼ばれるように、『家』なんです。テレビがあり、ソファがあり、くつろぐところです。

我々は野球選手ですが、全員がファミリーという意識をもっています。家族という意識が高いので、選手一人がチーム全体に及ぼす影響を重視して、性格が選手採用の判断材料になっています。選手としての技能が優れていても、ファミリーの一員にとして馴染まないと判断されれば、他のチームに入ってもらった方がお互いのためでしょう。

新人選手をスカウトする際、性格を知っておくのは重要です。スカウトが『ディティール』という項目にびっしりと詳細を書き込んでいるのはそのためです。

例えば、グラウンドに一番最初に出てくる、グラウンド整備を率先してやっている、凡打しても絶対一塁まで駆け抜けることを怠らない、あるいは家族構成。お母さんと2人で生活している、敬虔なクリスチャンだ、などさまざまです。

こうしたディティールは、スカウトからコーチに共有されています。例えば、伸び悩んでいる時には、選手がどういうタイプかを把握しているので、選手に合わせたアドバイスができる。アドバイスプランの変更にもタイプを知っていることが役立ちます。

フリーエージェントの権利が与えられた時、チームに残すべきかどうかという判断は、技術的なことは誰もが知っているので、ディティールが重要になります。ファミリーとして適応しているか、今後も重要な選手かといった点を、ディテールから考えていくのです。

そして、こんなことを聞かれるのです。

『彼は、グッドクラブハウス・プレーヤーなのか?』と。クラブハウス内で彼はどういう人だった? と聞くのです。

野球はアメリカンフットボールなど他のスポーツに比べて、試合数が多く、一年を通じて一緒にいる時間が非常に長い。だから、勝ちを拾うことと同じぐらい、チームづくりに人間性を重んじている。メジャーリーグに行ってから、僕はそう意識するようになりました」

元メジャーリーガー・斎藤隆に学ぶ「最強組織のつくり方」
>>その1はこちら



◆記事と合わせて斎藤隆さんも参加した「スモール・ジャイアンツ アワード」の様子もご覧ください。
>>「スモール・ジャイアンツ アワード」はこちら

文=藤吉雅春

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