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2019.01.27

世界が湧くトヨタの勝利、日本で盛り上がらないのはなぜ?

2018年、トヨタがルマンに優勝したときの様子


でも、トヨタがそういう歴史的な勝利を飾っても、あれだけ優勝しても、なぜ国内では盛り上がらないのか。モータースポーツに詳しい同僚と話してみたところ、

「トヨタはそういうレースに優勝しても、世界的に宣伝ができる作戦は立てないからだと言えるでしょう。例えば、三菱は1985年から12回も優勝していますし、優勝したら、世界のプレスが取り上げてくれる作戦を立ててきています。それの効果は大きいです。でも、トヨタはそういうことはしていない。だから、不思議にトヨタがあれだけ短い間で優勝しても、一般人の間では盛り上がらないと思います」という。

それは確かに言えるだろう。でも、もう一つ理由があるんじゃないかなと思う。僕的にはこんな風に解釈している。

トヨタという名門企業は、多くの日本人にとって、お父さん的な、というか、おじさん的な存在だと思う。日本最大の企業であり、最も販売台数も多く、もっとも利益を出す、強大な影響力がある企業だと思う。ある意味でトヨタは日本の経済を支えていると言って間違いない。

そういうお父さん的な存在が何かに優勝しても、国民は少し照れて、心の中では嬉しいのに、公の場ではそれほど盛り上げられない、という感じに見える。そんな気持ちが少しでも前向きに変わると、日本の一般人のモータースポーツに対する関心が回復するのではないだろうか?

トヨタは今年、WRC選手権やダカール・ラリーで優勝候補になると思うけど、個人的には、新スープラはアメリカの一番人気のNASCARでどれほど勝負できるか、そこに期待している。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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