Meizuが1月23日に中国で公開した資料によると、Zero(ゼロ)と呼ばれる新端末は、一切の「穴」が存在しない世界初のスマホだという。つまり、充電ポートやスピーカーの穴がなく、SIMカードスロットや音量調整ボタンもないのだ。
同社のマーケティング部門はこの端末が「世界初のシームレスな、(穴に)邪魔されないスマホ」だと述べているが、ここで意味を持つのは「世界初」の部分のみだろう。関係筋によると中国の競合のVivoも、来月バルセロナで開催されるモバイル・ワールド・コングレス(MWC)で似たコンセプトの端末を発表する見通しだ。
Zeroは従来のスマホにあった音量調整ボタンなどのメカニカルなパーツを全て、iPhone 7や8で採用された感圧センサーに置き換えている。電源のオン・オフも同様のセンサーを用いて行うことになる。
さらに、スピーカーのモジュールにはディスプレイ下部に埋め込む圧電振動子(piezoelectric transducer)を用い、画面の振動でサウンドを鳴らす仕組みだ。この技術はシャオミのMi Mixでまず採用されたテクノロジーで、当時は音質面でやや難があったが、Meizuの開発チームは音質を劇的に向上させたと述べている。
また、充電はワイヤレス充電のみの対応で、18Wの急速充電が行えるという。これが本当であれば、Zeroの充電スピードはファーウェイの端末の15Wを上回り、最も速くワイヤレス充電が可能な端末ということになる。一般的なワイヤレス充電の規格は10Wとなっている。
最後に、この端末の最も過激な点についてふれたい。驚くべきことにZeroは通常の物理的なSIMカードに対応せず、e-SIMのみの対応となっている。現状でe-SIMは未対応の通信キャリアも多く、端末をまたいで使えないなどのデメリットもある。しかし、端末を「穴なし」に仕上げる上で、これは必須の選択だったことは明らかだ。
ここまで述べてきたように、Zeroは一般的なユーザーに歓迎される端末とは言い難い。さらにいうと、スピーカーの穴を取り払ってまで穴なしを名乗ることに、果たして意味があるのかという気もしてくる。ただし、このモデルがあくまでもコンセプト端末であり、世間を驚かせるためにあるのだとしたら納得できそうだ。
Zeroは5.99インチのOLEDディスプレイを搭載し、画面埋込式の指紋センサーを備え、Meizu社製の最新ソフトウェアのFlymeで駆動する。SoCにはSnapdragon 845を採用し、デュアルカメラ仕様となっているが、それ以上の詳細は現時点では明らかになっていない。