「グローバル思考」の伸ばし方

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インドを代表する企業といえば、インド最大の財閥であるタタ・グループがあります。鉄・自動車・ITなど数多くの産業を抱え、売上高は10兆円超。2008年、傘下のタタ・モーターズがフォードから英高級車ブランドのジャガーランドローバーを買収したことで話題を集めました。

私は、このタタ・グループに注目し始めたのは、同年11月26日、ムンバイ同時多発テロがきっかけでした。当時、そのテロではホテルや駅などが標的となり、タタ・グループが保有するタージマハルホテルでは、武装勢力が宿泊客を人質に取り、警官との銃撃戦の末、170人を超える死者が出ました。

タージマハルホテルでは、1500人あまりの宿泊客を助けている最中に11人の従業員が死亡。宿泊客をかばって前に立ち、身代わりに銃弾を浴びた社員もいたそうです。

顧客が人質に取られる危機的状況の際、どのように従業員が動くべきか明確なガイドラインは用意されていなかったにも関わらず、徹底した顧客中心主義で従業員が動いたこと、それも組織的に動けたことに、ただただ感嘆しました。

また、当時グループの会長であったラタン・タタ氏と経営陣は、即座に社員と地域コミュニティの全面支援を決め、ホテルで死亡・負傷した社員だけでなく、ホテル近郊で殺された人々の家族、競合ホテルの従業員まで、経済的・心理的支援を行いました。タタ・グループは、地域社会の生活の質の向上を使命として掲げており、それを実行したわけです。

インドの主要産業を支えてきた150年もの歴史のある財閥で、なぜテロ後わずか20日で重要な意思決定ができたのか? どうしたら顧客至上主義が徹底された組織が作れるのか? この事件を機に、このグループの経営陣と意思決定メカニズム、さらに人材育成の観点で、タタ・グループは私の研究対象となりました。

日本にデジタル変革の拠点を

昨年末、そのタタ・グループが、傘下のタタコンサルタンシーサービシズ(TCS)を通じて、デジタル変革を生み出す拠点「TCSペースポート(TCS Pace Port)」を設立するにあたり、第1号に東京を選んだというニュースを知り、なぜ東京なのか疑問を持ちました。

1968年創業のTCSは、グローバルで展開するITソリューション企業です。その最初の拠点であれば、シリコンバレーでも、ベルリンでも、テルアビブでも良さそうなものです。

しかし、なぜ新たな変革の拠点に東京が選ばれたのか。TCSペースポート東京の責任者として、日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(日本TCS) 専務兼チーフデジタルイノベーションオフィサー(CDIO)に就任した中村哲也氏に話を聞きました。

文=秋山ゆかり

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