意義ある生活は健康増進につながる? 関連性はより複雑

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また、おそらくそれ以上の要素もあるだろう。同研究チームの以前の調査では、社会経済的地位と認知症のリスクの間に興味深いつながりが示唆された。貧しい人は裕福な人と比べ、認知症になるリスクがはるかに高い傾向にあったのだ。

ステップトーは研究の発表に際し「私たちの研究では、経済的資源が少ない人と比べ、裕福な高齢者の間で認知症のリスクが減少することが確認された」と述べた。「多くの要素が関わっている可能性がある。健康的な生活様式や医学的危険因子の違いが関係しているし、裕福な人には世間と積極的に関わりを保つ社会的・文化的機会がより幅広く用意されていることも関わっているかもしれない」

また裕福な人には、貧困のもたらす大きな負担がないことも理由かもしれない。貧困は知覚や体重、運動レベルに影響を与えるだけでなく、ストレスや鬱(うつ)の危険性など、認知症のリスクを上げるとされる変数を上昇させることが知られている

そうなれば、同研究で挙げられた変数はおそらく非常に複雑で、クモの巣のようにつながっているだろう。意義のある活動が健康増進に貢献している可能性はあるし、先行研究ではそうしたつながりが支持されているものの、意義ある活動が健康を改善するとは考えにくく、著者らもそのようには指摘していない。

最後に、「意義」とはいくぶん主観的なので測定するのは非常に難しく、一つの質問だけで測るのは特に困難だ。客観的に見ても意義がある活動には、ボランティア活動など一定の自由時間と経済的自由が必要とされる活動もあり、こうした要素自体が健康的な振る舞いや健康増進につながる可能性もある。

研究がさらに進むまでの間、この研究はうのみにはできない。少なくとも、健康に関するその他の社会的決定因子や行動決定因子を全て考慮した他調査と合わせて考えるべきだ。健康的になるためだけに目的意識を持とうと自分に強いないこと。既に効果があると分かっている、他のあらゆる健康的な行動と並行して自然に意義の意識を培おう。

翻訳・編集=出田静

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