サンブーカでは欧州の他の多くの町と同様、住民が仕事を求めて都会へと流出し、人口が年々減っており、町の活性化を目指す当局は1ユーロ(約125円)というただ同然の値段で家を販売している。
オーストラリアのイタリアニュース専門紙イル・グローボの記事では「牧歌的なイタリアの村に住むことを夢見たことがあるだろうか?」と問いかけた上で、「小さな町サンブーカは、家の購入と転入をできる限り簡単にするため、不動産購入の公式規則と手続きを緩和した」と伝えている。
歴史地区に立つ家は大半が2階建てで、広さは40~150平方メートル、赤みがかったピンク色の石造りで、アーチ型の入口、中庭、ヤシの木やオレンジ、みかんの木が植えられた庭園がある。中には見晴らしの良いテラスがある家もあり、晴れた日には200キロ先のエルバ山も見える。
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サンブーカが住宅の格安販売を決めたのは昨年だ。サンブーカは、興味があれば誰でも邸宅を格安で購入できると強調。副町長のジュゼッペ・カチョッポは「宣伝のためだけにこうした取り組みを行った他の町と違い、サンブーカの町当局は販売中の1ユーロの家を全て所有している。私たちは売り手と買い手を結ぶ仲介業者ではない。家を買いたい人は、すぐに買うことができる」と述べた。
伊紙ジョルナーレ・ディ・シチリアによると、アグリジェント県に位置するサンブーカは2016年、「イタリアで最も美しい村」に選ばれた。家を1ユーロで販売する手法はシチリア島の他の自治体でも実施され、成功を収めている。
話がうま過ぎると思うだろうか? 実はこのキャンペーンには裏がある。
販売される住宅の中には非常に古く状態が悪いものもあり、購入者は購入から3年以内に最低1万5000ユーロ(約190万円)を投じた改築をすることに同意する必要がある。また、敷金として5000ユーロ(約60万円)が必要で、これはリフォームが終わり次第返却される。