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2019.01.25 16:35

バターの代わりにチョコに果汁を溶かす独創。「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」2代目シェフの挑戦

(写真はイメージ Brent Hofacker / Shutterstock.com)


日本限定バレンタイン・コレクションも
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定番商品以外では、世界中のブティックに向けて、クリスマスやイースターといった季節限定商品を作っています。さらに特別なものとしては、日本だけに向けたバレンタイン限定のコレクションもあります。

チョコレートの形状も、生活習慣の変化に対応して調整しています。手軽なおやつとして手に取れるよう、小ぶりなバトン状にした商品も開発しました。定番商品も「アタンション」のように小さな箱詰めでも提供し、顧客を選ばず誰でも手に取りやすいようにアレンジしています。


クリスマスシーズンに出したレーヴ・ドゥ・ノエル2018
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真の「オートクチュール・ショコラブランド」としての5戦略

創業者であるロベール・ランクスは、「ショコラのオートクチュール」の世界を確立させました。私たちはこの精神を継承するため、5つの基本方針を元に新しい展開をしています。

1番目は「新たなコンセプトのブティック作り」、2番目は「『チョコレートを買う』だけではない顧客体験の提供」、3番目は「デジタル化対応」、4番目は「Bto Bの拡大」、そして5番目は「研究開発」です。

まず1番目、ブティックのコンセプト作りですが、市場の変化に合わせ、気取らないけれど華やかさが感じられる、パリ風のおしゃれな店作りを目指しました。

まずは昨年9月、このコンセプトに基づくブティックを香港にオープン、今年夏には、パリのルーブル美術館に直結するショッピングセンター、「カルーゼル・デュ・ルーブル」内のブティックを改装予定です。


新コンセプトに基づいた香港の店舗

2番目の顧客体験についてですが、私たちメゾンのことを幅広く知っていただける場を提供したいと思っています。モダンな内装の店内では、チョコレート作りの技術を映像で紹介します。また、チョコレートの味にも微妙な違いが限りなくあるのを感じていただける商品ディスプレーの工夫をしています。

フランス国内では1年を通じて様々なイベントを催し、ブロガーや顧客をチョコレートの製作アトリエやクリスマスパーティーに招待しています。創業40年を迎えた2017年のクリスマスには900人の顧客を招き、ルーブルの「逆さピラミッド」の下で盛大なパーティーを開きました。また2018年の12月6日には「サン・ニコラの日(サンタクロースの原型とも言われる聖人ニコラを祀る、子供のためのお祭り)」にちなみ、シェフのニコラ・クロワゾーを囲む夕べも企画しました。

3番目のデジタル化について、2000年からオンラインブティックを始めました。チョコレート・ブティックとしては非常に早く、電子商取引を開始したわけです。今後はユーザーエクスペリエンス向上のため、チャネルを問わずあらゆる場所で、顧客と接点を持つ取り組みを加速していく必要があるでしょうね。

4番目の「toB」マーケットの拡大について。「ボワット・シャポー」という豪華ギフトボックス入りの商品の需要が、法人向けの贈答用途で大幅に伸びています。そこで、企業やホテル、諸機関といった法人顧客対応の専用窓口を設けました。コンシェルジュ的に商品を選んだり、希望の場所への配送もしています。

ボワット・シャポー・ペチュニア

5番目の商品開発の研究は、上の4つの基本方針を支える重要な軸です。メゾンのチョコレート商品は、すべてパリ近郊のナンテールにあるアトリエで手作りしています。ニコラ・クロワゾーと彼の右腕の職人たちで作られるため、常に高い品質にこだわることができます。

彼らはメゾンの顔ともいえる30種類の定番チョコレートのレシピを、1年に約3種類ずつ見直しています。レシピは時代の変化を受け、砂糖と油脂分を減らし、カカオをより前面に出していく方向で刷新しています。ニコラ・クロワゾーは文字通り「チョコレートの明日」に新価値を与えるべく、革新的な味が呼び起こす感動を求めて、間断なき探求を続けているわけです。

「フランスの贅沢」体験フェス、シリコンバレーの起業家向けに

当メゾンは2000年に、フランスを代表するブランド81社と14の文化施設などで組織された「コルベール委員会」のメンバーになりました。国を代表してフランス流「アール・ド・ヴィーヴル(生活美学)」を世界に広めることが目的の団体です。昨年の12月に他の4メンバー企業とともに開催した「コルベールフェスティバル」では、シリコンバレーの起業家を招いてフランス流の贅沢を体験してもらいました。

私にとっての「アール・ド・ヴィーヴル」? そうですね。古くからのパリのシックな習慣である「チョコレートを食べること」、そのものでしょうか。

翻訳=竹若理衣 編集=石井節子 写真=Forbes France提供

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