今回は、そんなグローバル若手起業家の雄、同社CEOの十河宏輔氏に急成長のポイントなどをドリームインキュベータの小縣が聞いた。(全6話)※本記事は2017年9月に掲載したインタビュー記事に加筆・修正を加えております。
勝てる新規事業を生み出し続ける方法
──御社は圧倒的なスピードで事業展開と組織づくりをされていますが、そのスピード感を保つために十河さん個人が意識されていることはありますか?
やっぱり、他社研究はかなりやっています。真似できることがあればすぐに真似すべきだなと思いますし、そこは常に心がけていますね。
新規事業も私の直轄でかなり手がけていますが、他社と比べてもPDCAのサイクルがめちゃくちゃ早い自負がありますし、「これはいける!」と判断した時のアクセルの踏み方も凄まじいと思います。
冒頭でもお話ししましたが、そのスピードを支えるのは現状に満足しない「ハングリー精神」です。いかにPDCAサイクルを早く回しながら将来の大きな絵図を作りあげていくかを意識しています。
──新規事業を考える際は、どういう風に考えておられますか?
今の事業でいうと、既存事業からのヒントをとても大切にしています。足元、しっかり稼ぐビジネスモデルができているので、そこを横展開するのが一番早いと考えています。
しっかりとした事業のコアを育てて、その後はどんどん横に広げて活用していくということが成功のパターンではないでしょうか。
上場は通過点、その先に見据えるさらなる高みとは
──上場に関しても早さを非常に重視されている印象を受けます。
会社をいかに大きくしてアジアNo.1にするか、を前提にしてすべてを考えているので、上場する意味は資金調達のためでしかないと思っています。
私たちはシリーズAで1200万米ドルの資金調達を果たしています(追加調達を行い、最終的には1450万米ドル)が、「アジアで一番大きいテクノロジーの会社にできる」と本気で信じているので、それを実現させるために、さらなる資金調達によってM&Aなどもどんどん進めていかないといけません。
アジア市場は陣取り合戦ですから、アリババやテンセントといった巨大なテクノロジー会社やベンチャー企業が出てきている中で事業を拡大していこうと思うと、ある程度の資金が必要です。
そういう意味で上場は有効な資金調達手段ですし、上手く活用して成長スピードを上げられるかがポイントになります。
戦えるだけの資金さえあれば、絶対にチャンスはあると思うんです。我々がこれだけネットワークを張っている中で、日々さまざまな情報が入ってきているので。
例えば、アリババやテンセントが「ここを買っておけば良かった」と思うような有望な企業を先に買収しておくとか。そういうことができたらいいなと考えています。
──アリババやテンセントをライバルとして意識されていますか?
「アリババ、テンセント、AnyMind Groupの三大巨頭」という感じになったら、かっこいいじゃないですか。日本の企業の中に、そんな会社はなかなかないですよね。やれれば絶対面白い。なので、達成したいと思っています。
そのために、早くどこかの事業ドメインで勝負をかけたいとは考えています。
──「いつまでに成し遂げたい」という希望はありますか?
早ければ早いほどいいですよね。私の場合、今年30歳になるんですが、もう若くないなと思っているので。
時間は限られていますし、できるだけ早く、会社をもっともっと大きくしたいです。
連載 : 起業家たちの「頭の中」
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