経済・社会

2019.01.25 08:30

インドでもポピュリズムが台頭? 首相の「ばらまき」に要警戒


「ポピュリズムの典型」が示すリスク

今春実施される予定の総選挙でモディが再選を果たし、現在の愛国主義的、宗教的アプローチを継続すれば、インドでもフィリピンと同じようなことが起きる可能性がある。

さらに、最近のモディの選挙活動には、ばらまき的な政策を重視する姿勢が目立つ。ポピュリズムの典型とされるアルゼンチンから、幾つかのアイデアを得ているようにも見える。

アルゼンチンは1890~1920年代、急速な経済成長が続く安定した国だった。インフラ整備が進められ、鉱業資源の輸出が増加。外国資本の進出が相次ぎ、外国人労働者の流入も続いた。

だが、世界大恐慌が発生すると、商品価格が急落。「ペロニズム」と呼ばれるポピュリズムが台頭した。“ばらまき政策の国”と化したアルゼンチンがその後、猛烈なインフレに見舞われるのは避けられないことだった。

歴史から学ばない者は、同じことを繰り返す運命にあると言われる。自国で同じことを起こさないために、モディはアルゼンチンの歴史からより多くを学ぶ必要があるだろう。だが、総選挙が近づくにつれて、モディは経済改革を後回しにして、その他の問題を優先させ始めるかもしれない。

インドが今後、新たなフィリピンになるのか、あるいはアルゼンチンになるのか、現時点では分からない。いずれにしても、インドは目が離せない状況にある。

編集=木内涼子

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