自分の信念とうまく付き合うためのコツは、自分の信念がなんなのかをより具体的に認識することです。まず紙とペンを用意して、自分の感情が激しく動いたり、イラっとしたときのことを思い出していきます。
そしてその時の状況を思い浮かべて、「なぜこんなに悲しいのか」「どうして辛くなるのか」「怒ってしまうのか」と問いかけます。
すると、感情に溺れてしまった時というのは、自分が「こうあるべきだ」「こうならなくてはいけない」と思っていたことと、起きたことや相手の態度が離れているということに気付きます。この「べき論」があなたの信念なのです。例えば僕の場合、「プロは求められる以上の価値を出すべき」「大事な仲間は何があっても守るべき」などです。
一見簡単な方法ですが、自分の中でもやもやしてしまう感情の根っこを言葉で書き出すと、驚くほどスッキリします。
ここで書き出されたあなたの「べき論」は、いずれも自分にとって大切な心のエネルギー源であることをまずは認めましょう。僕の場合、「プロは結果を出すからプロなのだ」「何があっても仲間を守るのだ」とこだわることで、毎日を頑張れます。
その上で、自分にとって合理的なこの「べき論(=信念)」は、同じく信念を持つ他者に押し付けた途端、非常に不合理になることを認識します。僕から見れば大事なことでも、相手は相手の信念でやっていることだから、第三者目線で見れば「尾原、なんでそんなにこだわるの」となる。つまり、不合理なのです。
そこで、感情に溺れる前に、信念と話し合うのです。例えばもしオフィスなどで自分にとって許しがたい事態が起き、「こうするべきなのに! わー!」と怒りがはちきれそうになったら、とにかく一度、トイレの個室にでも駆け込んでしまいましょう。
まずは一人きりになってから、信念と話し合うといいです。人目があったり、今まさに信念を刺激する対象が目の前にあったりすると、なかなか冷静になんてなれないですから。