米史上最長の政府閉鎖 長期的な公務員離れ生む恐れ

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米国では今、史上最長の期間にわたり続く政府機関の一部閉鎖により、300万人近くの政府職員や請負業者の生活に深刻な影響が出ている。これは、政府機関による優秀な職員の採用にも甚大な長期的影響を及ぼす可能性が高い。過去の例を見ると、採用難は数年続く可能性がある。

皆さんの中には1990年代後半の「ドットコムバブル」が記憶にある世代もいるだろう。インターネット黎明期には、いわゆる「新経済」企業各社が大きな勢いを得ていた。1999年に新規株式公開(IPO)を行なった企業は457社で、うち117社は上場初日に株価が倍増。誰もがこうした企業で働きたがった一方、名門ビジネススクールでは、銀行やコンサルティング企業など、退屈で進化が遅いとみなされた「旧経済」の組織が優秀な学生の採用に苦労した。

しかしその後、バブルが崩壊し、「新経済」のドットコム企業は突然、魅力を失った。ビジネススクールでは、B2Bは「back to banking(金融への回帰)」、B2Cは「back to consulting(コンサルティングへの回帰)」の略だとのジョークが生まれた。結果、こうした旧経済の退屈な企業が大きな魅力を放つようになった一方、ドットコム企業は幾年にもわたり、それまでのように一流ビジネススクール出身者や著名役員を採用できない状況に陥った。

私が昔話をしている理由は、同じような状況が米政府でも起きると予見しているからだ。

今まで、公務員の売りの一つは安定だった。レイオフ(一時解雇)や解雇、組織の崩壊などが起きる可能性は民間企業に比べてはるかに低いため、政府関連職は雇用・業務・給料に安定を求める人にとって特に魅力的だ。しかしそれも今までの話だ。

政府職員として働こうと思っていた人は現在、政府職員の多くが無給で働き、廃棄食品を求めてフードバンクを訪れ、のむ薬の量を切り詰めている姿を目の当たりにしている。これまで政府職員の安定性に魅力を感じていた人は、今となっては羨望よりも同情を感じているだろう。

政府機関の採用担当者や人材を必要とする管理職は、今後数年間にわたり大きな山を越えなければならないだろう。職の安定性はもはや売りにならない。政府職員の多くは無給で毎日出勤しなければならないので、失った収入をパートや短期の仕事で埋め合わせることさえできない。
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編集=遠藤宗生

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