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2019.01.24 16:30

シリコンバレーで36人の女性VCがつくる「オール・レイズ」とは何か

フラッドゲートのアン・ミウラ・コー(左)、カウボーイ・ベンチャーズのアイリーン・リー(中央)、フォアランナー・ベンチャーズのクリステン・グリーン(右)

フラッドゲートのアン・ミウラ・コー(左)、カウボーイ・ベンチャーズのアイリーン・リー(中央)、フォアランナー・ベンチャーズのクリステン・グリーン(右)

2017年の夏、シリコンバレーはハリウッドより一足先に、これまで積み重ねた“請求書”に向き合うことになった。──#MeTooだ。

サンフランシスコのVC、バイナリー・キャピタルの役員が、複数の女性起業家に“好ましくない方法”で言い寄っていたかどで辞任し、同社は消滅した。続いて500スタートアップスとDFJ、それぞれの共同創業者が同様の理由で経営を退いた。

それから1ヶ月間、今年のフォーブス投資家ランキング97位、カウボーイ・ベンチャーズのベテラン投資家であるアイリーン・リー(48)は、そのメールを送るべきか迷い続けていた。創業から5年、やっと自社はトップVCに仲間入りした。6000万ドル規模となる2号ファンドの組成の真っ最中でもある。いま声を上げるのは間違いなくビジネスリスクだ。

だが彼女は決心した。「いまやらなければ、一生その機会はない」

メールの宛先は、VCで働く女性仲間23人。内容は、ベンチャーに関わる女性の数、つまり女性起業家とVCの女性投資家の数を増やすために、団結を求めるものだった。

「私たちはそれに挑戦できる立場にある。よりよい業界のあり方を探したい」

30分後、セコイアのジェス・リー(35)が返信した。「先頭に立ってくれてありがとう。何でも協力します」。皆が続いた。

テック投資は、アメリカで最も男性支配的な産業のひとつだ。VCの役員における女性比率は9%。トップVCの53%には女性投資家がいない。

「オール・レイズ(All Raise)」と名付けられた彼女たちのNPOは、今後10年間でVCにおける女性役員の数を2倍にし、5年間で女性起業家へのVC出資額を全体の15%から25%に引き上げることを掲げ、走り出した。メンバーは36人に増え、メリンダ・ゲイツが支持を表明し、シリコンバレーバンクらから200万ドルの支援も取り付けた。

メイン事業は、投資家や会社経営者が無料で女性起業家にアドバイスを行う「Female Founder Office Hours」だ。すでに結果は出ており、大学資金の積立運用CollegeBackerはシードラウンドで7万5000ドルを、不動産向け顧客管理Agentologyは1200万ドルを調達した。アン・ミウラ・コー(Floodgate)率いるチームは、投資家に興味のあるVC業界外の女性幹部のリストを構築。VC10社に25人を紹介済みだ。

資本主義の中枢で戦ってきた彼女たちは知っている。より多くの女性起業家に投資し、より多くの女性投資家を育て、彼らが無視できなくなる経済規模まで実績を積むことこそが必要なのだと。

メンバーのひとりであるエミリー・メルトン(DFJ)は笑う。

「私は投資家です。最高のディールにしますよ」

文=フォーブス ジャパン編集部

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