シティによる賃金格差開示は、投資家らの間で企業経営陣の多様性向上を求める声が高まっている現状を反映している。資産運用世界最大手のブラックロックは昨年、投資先の企業に対し、少なくとも女性2人を役員に登用するよう要求。バンガードやステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズといった同業大手も投資先企業に対し、経営陣の多様化を求めた。
シティは昨年、賃金格差の解消に向けて女性やマイノリティーへの給与を増やすと宣言。ラムはその際、ブルームバーグに対しこう語った。「これは、良い行いをするとか、企業責任だけの話ではない。実際に利益面での動機がある上、優秀な人材の採用と保持の目的もある」
多様な経営陣や包摂的な職場が、イノベーションの増加や財務実績の向上、離職率の低下といった効果をもたらすことは、これまで数えきれないほど多くの調査・研究で示されてきた。
女性やマイノリティーの幹部登用増加を誓うシティでは、AVPからMDまでの上級職について、2021年末までに世界全体で女性の割合を40%、米国内で黒人の割合を8%に向上させることを目標に掲げている。
同行はまた、問題解決には相当な努力が必要であることを認めた上で、女性や黒人の賃金格差を縮める努力を約束。プレスリリースで、今回開示した情報により「シティの上級職に就く女性や米国のマイノリティーを増やすというわれわれの目標の重要性が浮き彫りとなった」とし、「私たちはこれを通じ、時間をかけて未調整賃金格差を縮めていく」と宣言している。