彼女にとってはきっと、それで良いのだ。数十年間、正体を隠してきたのだから──。
ワイスは1960年代、女性であると読者が分からないよう「G. ワイス」の名前で財務アドバイスのニュースレター発行を始めた。女性であることを隠すことは当時、真剣に扱ってもらうためには重要なことだった。
ワイスはカリフォルニア大学バークレー校で学位を取得し、強い勤労意欲を示した。しかし証券会社はどこも、ワイスを秘書以外の仕事の候補者として考えることさえなかった。
ワイスはかつて、銀行と投資の世界について「男性の世界だった。そして女性は応募するに及ばなかった」と語った。しかし彼女は違った。どちらにせよ応募したのだ。
男性がウォール街を支配する一方、静かに高成績を収めるのは女性
ワイスがニュースレター発行を開始した1966年以降、女性投資家に対する世間の態度は大きく変化したと言いたいところだが、そうではない。
投資会社フィデリティ・インターナショナルの調査「Women and Money(女性と金)」によると、女性が男性よりも投資に向いていると思うと答えた回答者は9%以下だった。しかし、データが示すのはその逆だ。
カリフォルニア大学バークレー校の研究者らが発表した調査「Boys Will Be Boys: Gender, Overconfidence, and Common Stock Investment(男性は男性 性別、自信過剰、普通株投資)」では1991年2月~1997年1月の間、3万5000以上の家庭の男性と女性が行なった普通株投資を分析した。その結果、男性は女性よりも45%頻繁に取引し、女性は男性よりも年間で0.94%高い成績を収めたことが分かった。
これと同様の点が、より最近の調査でも示されている。
ウォリック・ビジネス・スクールは450人の女性を含む2456人の投資家を、2012年4月~2016年7月の間調査した。その結果、女性グループは男性グループよりも年間1.2%高い成績を収めたのだ。
また、フィデルティが800万の投資口座を調べた別調査によると、女性は男性よりも高い利益を生み、かつうまく節約していた。