褒め言葉と批判を同時に伝えてはいけない理由

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さらに、18万人以上が回答したアンケート調査「あなたのコミュニケーションスタイルは?」では、約4分の1が分析的なコミュニケーションスタイルを持っていることが分かった。

こうした人は、確実なデータやきちんとした数字を好み、事実やデータを示さない人には懐疑心を抱くことが多く、非常に具体的な言葉遣いを好み、あいまいな表現を嫌う。感覚的・感情的な言葉が多く使用されるコミュニケーションに耐えることができず、問題を論理的・公平に見ることが多い。

こうした人に対して批判よりも先に褒め言葉を伝えようとすると、良い反応が得られない。分析的なコミュニケーションスタイルを持つ人にとって、感情ではなく事実を求めることは自分の性質であり、批判を褒め言葉で和らげられると、頭の中であらゆる警報が鳴り始める。

場合によっては、相手をじっと見据えて「批判があるのであれば、はっきり言ってください。うわべだけの褒め言葉を並べて批判を和らげようとしないでください」と言うかもしれない。

あなたの企業の従業員が一般的な人口層を反映しているようであれば、その4分の1は分析的コミュニケーションスタイルを持っているかもしれないことを心に留めておくこと。私たちの調査では、情報科学(IT)や財務などの分野では、人事やマーケティングの分野と比べて分析的な人の数がほぼ倍になり得ることが分かっている。

私は先日、リーダー職に就く1800人以上を対象に、建設的な批判の伝え方についての簡単な調査を実施した。回答者に尋ねた質問の1つは、次の4つの文から自分に最も近いものを選ぶものだ。

1. 従業員は自分のパフォーマンスの良し悪しについて無味乾燥な事実を知る必要がある。私は部下のパフォーマンスに関して自分が思うことを感情的に議論したりしない。

2. 私には常にフィードバックを与えるための時間がない。従業員が各自のパフォーマンスの質について知りたければ、私との面談の時間を作ればいい。

3. 従業員の中にはもちろん、私の言葉を批判と受け取ったり、気分を害したりする人もいる。建設的な批判は難しいものだ。建設的とはいえ、批判には違いないのだから。

4. 私は、相手が建設的な批判を受け止めやすいようにしている。褒め言葉のサンドイッチ(良いことを褒めた後に、少し批判を伝え、最後に別の良いことを褒める手法)をよく使う。部下が私の話を聞かなくなってしまえば、改善にはつながらない。

建設的な批判の最も効果的な与え方とみられているのは1で、回答者の約31%がこれを選んだ。2の自由放任主義を選んだ人はわずか3%で、3の厳しい立場を選んだ人は14%だった。

懸念すべきなのは、51%の回答者が4を選んだことだ。従業員に心を閉ざしてほしくないという気持ちは分かる。しかし、褒め言葉のサンドイッチは上述の理由から、建設的な批判を伝えるのに良いアプローチとは言えない。

批判に褒め言葉を混ぜることで上司である自分の気が楽になるとしても、部下はむしろ、ありのままの率直な意見を聞きたがっていることを覚えておこう。ポジティブなメッセージとネガティブなメッセージを混ぜ合わせることで出る危険な反応を理解するには、パブロフの犬を覚えておくだけで十分だ。

編集=遠藤宗生

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