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2019.01.22

ネットフリックスが決算を発表 「我々の競合はゲーム企業」

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ネットフリックスの好調を支える「良質なコンテンツ」

ネットフリックスの成長を支えている大きな要因は、言わずもがなだが「質の高いオリジナルコンテンツ」だ。オリジナルコンテンツの好調ぶりは、決算発表にも言及されていた。

2018年12月に配信が開始された、サンドラ・ブロック主演のオリジナル映画「バード・ボックス」は、配信後4週間で全世界8000万世帯が視聴。同作品は、作品中の目隠しを真似する「バード・ボックス・チャレンジ」が生まれるなど、社会的な現象を巻き起こすほどの影響を見せている。

ドラマも好調だ。2018年10月に配信開始された、スペイン発のオリジナルコンテンツ「エリート」は、配信後4週間で全世界2000万世帯が視聴。また、最近配信が開始された「YOU ー君がすべてー」と「セックス・エデュケーション」は配信後4週間で全世界4000万世帯に視聴されたという。

「エリート」と「セックス・エデュケーション」は、いわゆる学園モノの青春ドラマなのだが、従来の学園モノの作品とは違った仕上がりになっているのが面白い。「エリート」は低所得層の学生3人がスペイン随一のエリート私立高校へ編入した後の人間模様を描いた作品。その学園内で起きた殺人事件を軸に物語が進んでいく。単純に恋愛模様を描くのではなく、サスペンス要素が多分に盛り込まれている。

また、「セックス・エデュケーション」はタイトル通り、ティーンの“性事情”をテーマに、未経験の高校生が「セックス・セラピー」を行い、悩みを解決していく学園モノの作品。今まで取り扱われてこなかった切り口から、学園生活の模様、人間関係を描いている。

第4四半期で増加した有料メンバー数880万人のうち、730万人は米国外から登録されている背景には、こうした米国外で人気のコンテンツが生み出されていることにあるだろう。2019年、ネットフリックスはアジア展開に注力する予定だ。

アジア8か国から100本以上のオリジナルコンテンツの配信を予定。うち日本、台湾、タイ、インド、韓国からは17本の新たなオリジナルコンテンツの制作を予定しているという。

もちろん、ネットフリックスに課題がないわけではない。 同社は「HBO以上にFortniteと競争している」とコメントした。1日の間に何をするか──消費者の可処分時間を奪い合うという意味において、ネットフリックスの競合はケーブルテレビではなく、人気ゲームFortniteというわけだ。ネットフリックスはこうコメントを残した。

「私たちにとっては、ディズニー+、アマゾンなど他の会社にフォーカスするのではなく、メンバーのために視聴体験をどれだけ向上させることができるか、が大事なのです」

2019年、13%の営業利益率目標を掲げたネットフリックス。同社は今後、「コンテンツを大幅に拡充させながら、収益を早く上げ、営業利益率を拡大していく予定」だという。

文=新国翔大

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