ビジネス

2019.01.22

英王室属領に仮想通貨取引所、「予想以上の登録者」が加入

Lukasz Stefanski / shutterstock

香港本拠の世界最大級の仮想通貨取引所「Binance(バイナンス)」が、英国とフランスの間に浮かぶ英王室属領のジャージー島に、仮想通貨取引所「Binance Jersey(バイナンスジャージー)」を設立し、ユーロ(EUR)や英ポンド(GBP)での仮想通貨取引開始をアナウンスした。

バイナンスのCEOで、「CZ」のニックネームで知られるジャオ・チャンポン(趙長鵬、Changpeng Zhao)は、バイナンスジャージーの新規登録者数が予想を大きく上回り、「圧倒されている」と述べた。

英国ではEU離脱(ブレグジット)の先行きが懸念されるなかで、金融市場の未来に関する不安も高まっている。バイナンスジャージーは1月15日に登録受付を開始し、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨取引へのアクセスを提供しようとしている。

「予想以上の登録申請が殺到し、KYC(身元確認)プロセスに遅延が生じている。今後はリソースの割当を増やし、遅延を解消していく」とCZはツイッター上でコメントした。

イギリス王室の属領に位置づけられるジャージー島は、高度の自治権を有し、英国の法律や税制が適用されないエリアとなっている。バイナンスはこの島が、ブレグジットを控えた欧州市場で、仮想通貨の普及を促進する大きな拠点となると見込んでる。

「欧州地域で、仮想通貨と法定通貨が交換可能な取引所を新設することで、人々に新たな経済的機会を与えられる。ブレグジットが英ポンドやユーロに与える影響への懸念が高まるなかで、その不安を遠ざけることにもつながる」と、バイナンスCFOのWei Zhouは述べた。

英国の金融業界団体U.K. FinanceのStephen Jonesは先日の英チャンネル4の取材に対し、EUからの合意なき離脱が、金融業界に壊滅的な結果を招くかもしれない、と警告した。

イングランド銀行総裁のマーク・カーニーも合意なきEU離脱の結果、最悪の場合は英ポンドの価値が25%急落すると、昨年11月に述べていた。英国のテリーザ・メイ首相はEU離脱に向けた妥協案を探り、議会の承認を得るための厳しいプロセスの中にある。

ビットコインを筆頭とする仮想通貨への関心は、英国や欧州地域で高まっているものの、その関心の高さはビットコインの相場には反映されていない。今から1年と少し前に、2万ドル付近まで上昇したビットコインの価格は現在、3500ドル付近まで下落している。

「仮想通貨市場が強気相場だった2017年には、ブレクジットを控えた英国の顧客らが、ビットコインに対する高い関心を示していた。しかし、現在の値動きはさらに不確定要素が増している。今後の市場トレンドを見きわめるのは非常に難しい」と投資プラットフォームeToroでシニアマーケットアナリストを務めるMati Greenspanは述べた。

編集=上田裕資

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