フォーブス ジャパン編集部 エディター


日本と海外の間で生じている「ズレ」

本田:そうですね。昔、カンヌ広告祭で面白い調査結果を発表したことがあって。欧米諸国の方たちに、「最もクリエイティブな国、都市はどこですか?」と聞くと、「日本、東京」と回答するのですが、日本の人たちに聞くと真逆の答えになる。「ニューヨーク、パリがクリエイティブだ」と答えるんです。こうした回答からも、日本の人たちは過小評価しすぎなのかなと思うのですが、Takuさんはどう思いますか?

☆Taku:欧米の文化に対する、リスペクトはあると思うんですよね。実際かっこいいじゃないですか。ハリウッドなどを見てても、めちゃくちゃスゴいなと感じます。

その物差しで比べちゃうからダメで、違う物差しで日本を見てくれていることに気づかないといけない。気づけていないからこそ、「そんな評価されてるの?」と感じてしまう。機会損失が多いな、と思います。

本田:機会損失……そうですよね。それは物差しの違いが大きな要因なんでしょうか?

☆Taku:僕らがカッコいいと思いたいものと、海外が評価してくれるカッコいいものが、実はちょっと違うんじゃないかなと思うんです。

本田:そこのズレ。でも、そのズレが逆に可能性になっていくかもしれないですよね。

VERBAL:本当はお互いにリスペクトし合って、すごく共鳴して、大きな展開になっていくのが理想なんですけど、一方で片思いみたいになった面白い話もあって。

昔、僕はボストンの大学に行っていたのですが、現地ではアンダーグラウンド、要は大学生のカレッジラジオでしか流されないようなヒップホップがすごいかかっていたんです。当時90年代半ばだったと思います。

その時に現地のラッパーの友達が、「俺、レコード5000枚売れたんだ」と言ってきて。5000枚は界隈だと、そこそこ売れてる人みたいな感じです。それで、「すごいじゃん。どこに売れたの?」と聞くと、「5000枚、全部日本のレコード屋に売れた」と。

ボストンのアンダーグラウンドで生まれたヒップホップが日本では評価されて、すごく価値が付けられている。その一方で、現地ではまだ公共のライブもできない。これは日本での小さな事例なのですが、面白いなと。

海外においては、海外の人たちがどんどん招聘したり、いろんなイベントをやったり、ローカライズさせてることで上手くいくケースはたくさん見ているので、本当は一緒に連携したほうが広がっていくのになって思いますね。

本田:そうですよね。以前、VERBALさんがおっしゃっていた、ドメスティックマーケットとグローバルマーケット。これは日本固有なのかどうか、という議論はあると思うのですが、人口が1億2,000万人ぐらいいて、この中でエンタテインメントや音楽などが消費され、ビジネスも成り立つ世界、これはやっぱり日本特有なんでしょうか?

VERBAL:特有だからこそ、「日本 vs 世界」みたいな構図になってしまった。やっぱり日本だけ、まだタワーレコードがあるのがひとつの証拠だと思います。いまだにフィジカルでCDを売ろうとするマインドが残っている。


2017年に開催された、三代目 J SOUL BROTHERSのLIVE TOUR 2017「UNKNOWN METROPOLIZ」

あとはLDHの例を話すと、LDHにはEXILEを筆頭に三代目 J SOUL BROTHERS やGENERATIONSというグループが所属しているのですが、三代目 J SOUL BROTHERSが日本国内で48公演のライブを開催し、240万人動員したことを伝えると海外の人たちはみんなビックリする。「そんなのジャスティン・ビーバーもできてないよ」と。

日本には日本特有のマーケットがあり、それなりの規模を示すデータはすごくビックリされます。

本田:Takuさんに伺いたいのですが、韓国はまた違って、マーケットのサイズも日本より小さいけれど、グローバルにどんどん出ていっている印象があります。

☆Taku:韓国はグローバルに出て行かざるを得なかったんです。これは有名な話だと思いますが、韓国は国が破綻し、外貨を稼ぐ手段としてK-POPを海外に輸出した。急いで何とかしなければ、とお尻に火がついた状態で始まったんです。

音楽業界のシュリンク、人口の減少。日本も海外を「憧れの場所」ではなく「稼ぐ場所」だという意識を持たないといけない、と言われてから10年。少し意識が変わってきたんじゃないかなと思います。

文=新國翔大 写真=PR Table提供

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