再選を目論むトランプの強敵が出馬表明、彼以上の「攻撃型ディベイター」

カマラ・ハリス上院議員(Photo by Al Drago/Getty Images)


ベストセラーとなっている彼女の本には、アメリカの巨大銀行、JPモルガンに対し、司法長官の前任者がまとめた3千億円程度の和解金を、「これでは被害者が救われない」として一度合意したものを引っ込め、上司である知事が止めるのも聞かずに銀行の頭取を電話口で怒鳴り上げ、最終的に(複数行合わせて)2兆6000億円の和解金を引き出し、被害者に分配したという武勇伝も書かれている。

検事出身で大統領選に出た、もしくは出ようとした人には、ルドルフ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長や、クリス・クリスティ元ニュージャージー州知事などがいるが、いずれも検察時代の業績はマフィアの締め出しや治安の維持などで、大統領選挙の政策ディベートではそれらはあまり多くを語らず、むしろ行政の長としてのリーダーシップスキルをセールスポイントにしていた。

しかし、党のトップのペロシ下院院内総務を出してもトランプを止められない民主党やその支持者は、政策よりもトランプを言い負してくれるかもしれないハリス上院議員の弾劾スキルに目を奪われ、それをメディアがさらに煽る。

もし、ハリス上院議員が民主党の大統領候補になるとしたら、トランプの劇場型選挙は、さらなる対ハリスの劇場型選挙を招く。それがアメリカにとって本当にいいことなのかどうかは、大いに疑問が残る。この国の選挙は、もっと建設的なものであった気がするのだ。

連載 : ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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文=長野慶太

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