競争で優位な地位を保つこと、そして顧客のニーズに真に沿った解決策を設計することが必要な企業は、従業員の時間管理方法をより意識的に考えるべきだ。時間不足がチームの業務に影響し、イノベーションを損なう3つのパターンは次の通りだ。
1. メールへの返信など、反応の速さを価値創造と混同する
電子メールが1週間、あるいは1日に100通以上寄せられ、おびただしい数のコミュニケーションが発生すれば、従業員は電子メールやインスタントメッセージへの返信が自分の主な仕事だと思ってしまうだろう。
これに加えて会議が多過ぎることも、時間が足りなくなってしまう主要因だ。従業員は、価値が低い共同作業に多くの時間を使うようになり、自分たちがもたらす影響や価値創造の感覚を失ってしまう。
2. 好奇心よりも効率性を重視する
ハーバード・ビジネス・レビューに掲載された先ごろの特集記事では、「好奇心は実は以前考えられていたよりも、企業の業績に対し大きな重要性を持つ」と強調されている。好奇心はイノベーションを推進する。企業が効率性と既存の働き方に重きを置き過ぎるようになると、好奇心が強い人はますます働き続けづらくなる。
3. 常に業務過剰な状態になる
時間が足りないときに近道を探そうとするのは自然な反応だ。このようにヒューリスティクス(過去の経験など、確実ではない法則や手がかり)を使うことで、一生懸命考えるプロセスを踏まずとも迅速に答えを出すことができる。私たちの脳は喜んでその決定に従い、確証バイアス(既存の結論を覆すデータよりも支持するデータに注目する傾向)を生んでしまう。
より大きなイノベーションを育みたい企業は、チームの時間の捉え方や管理方法により大きな関心を払わなければならない。私たちはリーダーに対し、次の3つの信念をチーム内で定着させるよう奨励している。
・大事なことのために時間を作るためには多くの場合、重要ではないことを断ることが必要。
・時間は価値があり希少な資源だ。毎日の時間の使い方の投資利益率(ROI)を考えること。
・最初に出す答えが最高の答えであることはまれ。最初の選択肢を貫くよりも、時間を取って多くのアイデアを生むこと。
仕事のペースは今後、加速するばかりだ。従来型の答えに引き戻されないようにするためには、チームがじっくり考え、実験できる時間を確保することが必要となる。