ビジネス

2019.01.22

ロボタクシーZooxが新人事、自動運転界で初の黒人女性CEO誕生

Aleksandar Mijatovic

完全自動運転のロボットタクシー向けの車両を開発する、シリコンバレー本拠の「Zoox(ズークス)」は昨年7月、アトラシアンの共同創業者でCEOのマイク・キャノンブルックスが主導したシリーズBラウンドで、およそ5億ドル(約564億円)を調達した

その後、同社の共同創業者でCEOを務めたティム・ケントリークレイは8月に会社を離れていたが、Zooxは新CEOとしてインテルに12年間勤務したAicha Evansを迎え入れることを発表した。2月からZooxの新CEOに就任するEvansは、米国の自動運転車分野における、初の黒人女性CEOとなる。

自動運転テクノロジーを開発するウェイモ(アルファベット)とクルーズ(ゼネラルモーターズ)らは、基本的に既存の車両の設計を修整し、自動運転車を完成させようとしている。一方で、完全な「ロボットカー」をいちから設計し、オンデマンドの配車サービスに投入しようとしているのは、Zooxだけだ

Zooxはオーストラリア出身のアーティストで起業家のティム・ケントリークレイのほか、コンピュータ科学者のジェシー・レビンソンらが立ち上げ、昨年の5億ドルの資金調達の完了時点で、累計7億5000万ドルを調達していた。その後、ケントリークレイが会社を離れて以降は、役員会メンバーのCarl Bassが、暫定的にCEOを務めていた。

レビンソンは元インテルのEvansについて次のように述べた。「インテルで7000名のチームを率い、ハードウェア製造に深い知見を持つ彼女が当社に加わることは、大きな前進といえる。新CEOの選出にあたっては100名以上の応募者の中から、50名以上を候補者として選び、数カ月をかけて20名以上を面接した」

Zooxは現在、約700名の従業員を抱えており、その多くはテスラやグーグル、アップルに勤務歴を持つ人々だ。同社は昨年からカリフォルニア州フォレストシティの新社屋で業務を行っている。

レビンソンはスタンフォード大学出身の、人工知能(AI)分野のスターエンジニアとして知られるが、Zooxには米国道路交通安全局(NHTSA)で主任を務めたMark Rosekindも参画し、車両の安全基準の確立を指揮している。

2020年には商用オペレーション開始

社内組織の変更はあったものの、Zooxは当初の計画通り、2020年には商用オペレーションの実施を予定している。ただし、レビンソンは詳細な日程や、今後の資金調達、車両を製造するうえでの提携先についての言及は避けた。

車両の最終的なデザインは公開されていないが、Zooxはステアリングやブレーキ、ダッシュボードがない、広々とした車内を実現し、快適性を重視した自動運転車の開発を目指している。

Evansはインテルに2006年に採用され、ソフトウェアの統合や製品テスト部門を統括した。彼女は同社のワイヤレスオペレーション部門のマネージャーを務め、イスラエルではWi-Fi関連のプロダクト開発に関わっていた。

Zooxの元CEOのティム・ケントリークレイも、Evansが新CEOに着任したことを歓迎し、ツイッターで次のように述べた。「モビリティが新たな時代に向かうなかで、Zooxはその流れをリードしてきた。創立から4年に渡り、Zooxを率いて来れたことを誇りに思う。同社の今後の発展を祈っている」

編集=上田裕資

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