米国で家族を介護する層が変化 若者と男性が増加へ

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家族の介護者や介護を受ける人は若くなっているのだろうか? また、過去と比べて男性が両親やその他の家族を介護することが多くなっているだろうか? 長期介護保険企業のジェンワースが実施した昨年の調査によると、どちらも本当のようだ。

同調査では、家族の介護者の約半分が男性だということが示された。他の複数の調査では、家族の介護者における男性の割合は40%とされていて、それと比べると顕著に高い。また同時に、家族を介護する米国人の平均年齢は、ジェンワースが初めて同調査を実施した2010年の53歳から下がり、現在は47歳だ。この2つの動きは、関連しているかもしれない。

若くなっているのは介護者だけでなく、介護を受ける家族も同じだ。ジェンワースの2010年の調査によると、介護を受ける人の中で10人中8人は65歳以上だったが、現在介護を受ける人の中で65歳以上の割合は57%だ。また介護を必要とする理由が病気ではなく事故の結果である人は約20%で、2010年のデータと比べるとほぼ倍だ。

前向きな感情を感じつつもストレスは増加

調査に回答した介護者らによると、介護に費やす時間の平均は週およそ21時間で、介護期間は3年だ。これは、全米介護者連合(NAC)と全米退職者協会(AARP)が実施した重要な研究「Caregiving in the U.S. 2015(米国の介護 2015年)」の結果ともほぼ合致する。

10人中8人は、介護をすることで前向きな気持ちになると述べたが、友人や家族の介護によりストレスが増えたと答えた人は半分以上に上り、介護が自身の健康全般や福祉に悪影響を与えていると答えた人は半分近くいた。また10人中4人は、介護が自分の心の健康に影響を与え、配偶者やパートナーとの関係を損なったことがあると答え、家族が必要とする身体的なケアを提供するのに自分が適任でないと感じていた人は半数だった。

介護者が負担するのは感情的な代償だけではない。3分の2近くの介護者は、家族の介護のため財務的なコストを負担していると報告している。報告された負担額は平均1万400ドル(約110万円)で、ジェンワースによる2013年の調査より29%高い数字だ。
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翻訳・編集=出田静

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